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「完敗でございます」Bellatorに5戦全敗、RIZIN勢が痛感した“世界との差”とは? 堀口恭司は「肌で感じないとわからない」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2023/01/04 17:02

「完敗でございます」Bellatorに5戦全敗、RIZIN勢が痛感した“世界との差”とは? 堀口恭司は「肌で感じないとわからない」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

RIZINとBellatorの「フェザー級王者対決」となった副将戦。得意の寝技にパトリシオ・ピットブルを引き込もうとするクレベル・コイケだったが……

 この大会のセミファイナルでイゴール・ジノビエフのマウントパンチによって瞬殺されたエンセン井上(現スダリオ剛のコーチ)は、「ワタシ、心痛いよ」と冒頭のクレベルと同じような言葉を残している。

堀口恭司の指摘「世界に出たほうがいいのでは」

 それから四半世紀の歳月が流れた。総合格闘技を取り巻く状況は当時とは明らかに異なるので、単純に比較することはできまい。しかしながら、世界と対峙したときに太刀打ちできなかった、というシチュエーションは酷似している。

 敗因については、様々な理由が取り沙汰されている。今大会ではBellator側から出場し中堅戦で扇久保博正との3度目の対決を制した堀口恭司は「もちろんうれしいけど、複雑な気持ちです。(本来は)日本サイドですからね」と胸中を明かしたうえで、次のように補足した。

「自分がやっているようにアメリカに行って直に肌で感じる、技術の差だったりとかコーチの差を感じないと、やっぱり人間はわからないので。世界に出たほうがいいんじゃないかなと自分は思います」

 経験に裏打ちされた言葉だけに説得力が感じられる。確かに昔も今も柔道にしろ、レスリングにしろ、海外での練習や試合を多く積み上げるというやり方が、強くなるための不変かつ最善の策と考えられている。逆に“井の中の蛙”になった時点で、選手としての成長は止まる。ひとつのプロモーションの頂を極めたからといって、満足してはいけないということだ。

 その一方で、榊原CEOはチームRIZINの敗因についてフィジカルの差を挙げた。

「コロナ禍で同じ日本人同士で闘っているときより、(対外国人となると)同じ体重や同じ階級でもやっぱりフィジカルの差を感じてしまう。サトシやクレベルの試合も、なんとなくその差なのかなと思ったりもします」

 その通り、フィジカルの差を如実に感じさせる場面もあった。例えば副将戦。筆者の目には、クレベルが首投げを打てるような体勢になったときに、パトリシオのパワーによって剥がされるように後方に押し倒された場面が印象に残った。

【次ページ】 クリスマスを返上、「本気」で来日したBellator勢

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