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「完敗でございます」Bellatorに5戦全敗、RIZIN勢が痛感した“世界との差”とは? 堀口恭司は「肌で感じないとわからない」
posted2023/01/04 17:02
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
「ワタシ、寂しい。(パトリシオに)負けたし、初めてRIZINで負けたし……」
『RIZIN.40』(12月31日・さいたまスーパーアリーナ)で組まれた、RIZINとBellator(ベラトール)全面対抗戦の副将戦。Bellator世界フェザー級王者パトリシオ・ピットブルに0-3の判定負けを喫したRIZINフェザー級王者のクレベル・コイケは、大きく肩を落としていた。
無理もない。得意の寝技に持ち込もうとするもそのアクションが全て未遂に終わったのとは対照的に、スタンドではパトリシオの打撃をあまた被弾してしまったのだから。それを証明するかのように、記者団の前に現れたクレベルの左目上は大きく腫れ上がり、ドクターに縫われた痕も残っていた。彼は日本語でこう続けた。
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「日本のファンもRIZINチームを信じていた。でも我々のチームは負けた。それも寂しい」
榊原CEOは5連敗に「完敗でございます」
クレベルの傍らでは、ホベルト・サトシ・ソウザが顔のダメージを隠すようにサングラスをかけながらボンサイ柔術の盟友のインタビューが終わるのを待っていた。この時点ですでに、サトシもAJ・マッキーとの大将戦を落としていた。
自分のインタビューの番になると、サトシも潔く敗北を認めた。
「1ラウンドはグラウンドでやられてしまった。これはもうしょうがない。2ラウンドと3ラウンドは良くなっていったけど、まだまだですね」
サトシも敗れたことで、大会の最大の売りであった対抗戦はBellatorの5連勝に終わった。大会前は「RIZINの5戦全勝」と威勢のいい予告をしていたRIZINの榊原信行CEOは「この場を借りてお詫びをしたい」と頭を下げた。
「偉そうに『全勝します』と言いながら、引っ繰り返されて5連敗ということで、完敗でございます」
筆者の脳裏には「日本最弱」という言葉が真っ先に思い浮かんだ。この言葉は1996年7月に開催された『VALE TUDO JAPAN '96』で組まれた“対世界”との対抗戦で日本勢が6戦1勝4敗1分という惨憺たる成績に終わるや、当時の格闘技専門誌が叱咤激励する意味で日本勢につけたコピーだった。勝ったのはいまもプロレスラーとして現役を続ける堀田祐美子のみ。残る男子陣はひとりも勝てないという衝撃の結末だったのだから、そう言われても仕方なかった。