クリスマスを返上、「本気」で来日したBellator勢

　また、巷では「RIZINルールではなく、（北米の総合格闘技で採用されている）ユニファイドルールならRIZIN勢が勝っている試合もあった」という声もあった。

　RIZINルールは試合全体を通しての印象がジャッジに反映される。つまり中盤まで劣勢でも、終盤一気に反撃に転じれば勝ち目はあるということだ。対照的にユニファイドルールは、どのラウンドの優劣も均等に採点する。

　勝負の世界に「たられば」を持ち込むのは禁物だが、もしユニファイドルールで裁かれていたら、サトシ対マッキーや次鋒戦として行われたキム・スーチョル対フアン・アーチュレッタの勝負の行方はどうなっていたのか。

元Bellator王者のフアン・アーチュレッタと激闘を繰り広げたキム・スーチョル　©RIZIN FF

　果たして、試合後、Bellatorのスコット・コーカー代表は「アーチュレッタの相手（キム）は本当に強かった。接戦でも、勝ててよかった」と本音を吐いた。

「大将戦もサトシ選手が何度かAJからタップを奪うんじゃないかとドキドキしていたので、非常にストレスを感じていました。結果的に、AJはやるべきことをやって勝ったと思います」

　この対抗戦の対戦カードが発表されたとき、多くの識者はBellatorサイドの「圧勝」を予想した。案の定、その通りになったわけだが、最初からBellator側は勝負に関して楽観視していたわけではない。その証拠に、通常なら試合の3日前に来日して試合に備えるところを、今回はクリスマスを返上して早めに来日し、タイムラグや日本の気候に順応しようとしていたのだ。ジャッジも2名ほどアメリカから連れてきた。地元（米国）で放送されることを考えたら、間違っても観光気分でやってくることは許されなかったのだ。

対抗戦を総括するBellatorのスコット・コーカー代表　©Number Web

　対抗戦で落としていい星などあるわけがない。Bellatorにとって、これは戦争だった。いみじくも榊原CEOはいう。

「我々はBellatorに渡航費や宿泊費やファイトマネーをドーンと（一括して）払う契約になっている。彼らがそのお金をどう使おうと、僕らは知る由もない」

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