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「武豊さんはストライカーで、僕はパサー」長年のサッカー経験を競馬にも活かす、ジョッキー・福永祐一の司令塔気質とは
text by
渋谷編集室 with ABEMASports Graphic Number with ABEMA
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/04 11:00
フリットに憧れるサッカー少年だった福永騎手。サッカープレイヤーとしてのスタイルは競馬の考え方にも影響を及ぼしているという
――その後、実際のサッカーをする機会は?
福永 ジョッキーのサッカー部があって、以前は部長をしていたこともあります。メンバーは四位洋文(現調教師)さんとか、幸英明さんとか。僕は真ん中で走らず、みんなにパス出してました(笑)。そもそもジョッキーって牧場、厩舎と繋がれてきたバトンを最後に受けて結果を出す仕事。必然的にゴールを狙うストライカー気質の人が多いのですが、僕はチームで馬を作り上げてレースで勝つことに喜びを感じるタイプなんです。武豊さんなんかはまた違っていて、完全にストライカータイプ。過程は任せて、自分は最後に結果を出すことに専念するザ・ジョッキーです。サッカーでもパスが好きで司令塔だった僕は、ジョッキーとしてのスタイルも異質ですね。
――過去のワールドカップで印象に残っている試合を教えて下さい。
福永 2002年日韓大会の日本対ベルギー(GL初戦、2-2)です。あの試合は埼玉スタジアムで観てました。当時、ガンバ大阪の選手と交流があって、ワールドカップの試合なんてもう観られないかもしれないと思って、席を取ってもらったんです。稲本(潤一)くんがゴールを決めた瞬間の興奮とスタジアムの盛り上がりは、今も覚えてますよ。
ガンバで親交があったのは、ヤット(遠藤保仁)、明神(智和)くん、山口智くんとか。向こうも競馬が好きで競馬場に来たりしてましたね。僕も万博(記念競技場)に試合を観に行きましたし、キックインセレモニーもさせてもらいました。なんならガンバの納会にも顔を出したりもしてました(笑)。
サッカー選手から学ぶこと
――そういうアスリート同士の交流は、やっぱり勉強になることもありますか?
福永 ありますね。いちばん共有するのは怪我の治療や体のケアの情報です。いろんなジャンルの方の話を聞いてきましたけど、特にサッカー選手は選手寿命が短いので、僕たちよりもはるかに怪我への意識が敏感だと感じます。今も現役の三浦知良さんに限らず、やっぱりみんなストイックですよ。ヤットも、なんにもやってなさそうな雰囲気出してるけど、そんなわけないんですよね。