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「武豊さんはストライカーで、僕はパサー」長年のサッカー経験を競馬にも活かす、ジョッキー・福永祐一の司令塔気質とは
text by
渋谷編集室 with ABEMASports Graphic Number with ABEMA
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/04 11:00
フリットに憧れるサッカー少年だった福永騎手。サッカープレイヤーとしてのスタイルは競馬の考え方にも影響を及ぼしているという
――ワールドカップ以外で印象に残っているサッカーの試合はありますか?
福永 イギリスのアスコット競馬場で毎年、シャーガーカップというジョッキー招待レースが行われるんですが、2006年に呼ばれたときに、ロンドンのスタンフォード・ブリッジでチェルシー対セルティックを観ることができたんです。ちょうどセルティックに中村俊輔選手がいる時で、試合はものすごく面白かったし、スタジアムも素晴らしかったんですが、それ以外にもいろいろ強烈でした。
――何があったんですか?
福永 イングランドとスコットランドって仲が悪いでしょう。それで試合後、僕はセルティック側の席にいたんですが、ホームのチェルシーのサポーターが帰るまで出られないんです。一緒に帰ると揉めるから。そのうちセルティックのサポーターが早く出せって怒り出すわ、そのへんの階段で小便し始めるおっさんがいるわで。ようやくスタジアムから出られると思ったら、今度は沿道の家の人とサポーターが揉めて、家からビンが飛んできたりして。すげえなと思いながら帰りましたよ。もうこれはエンターテイメントじゃないんだなって(笑)。
“観戦者”としての醍醐味
――最近の日本代表の試合はご覧になっていますか?
福永 結婚をしてからはスタジアムへ行くこともなくなりましたし、昔ほど熱心ではないですが、観てますよ。でも日本もずいぶん変わりましたよね。普通に海外のクラブで活躍している選手ばっかりで。競馬はまだ日本人ジョッキーが海外でそこまでの活躍をするところまでは行ってませんけど、いずれ出てくるんだろうとは思っています。日本人が持つ繊細な感覚を武器にしたジョッキーが、世界で活躍する時代が絶対に来る、と。
――そんな世界で戦う日本代表選手の中で、今いちばん期待している選手は誰ですか?
福永 三笘(薫)選手は明らかに存在感が違いますね。なんでいつも途中からの出場なのかな、最初から入れときゃいいのに、とも思うけど(笑)。森保(一)監督からしたら何か明確な理由があるんでしょう。まあ、こうやってああだこうだ言うのは見る者の醍醐味、素人の特権ということで。