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《阪神ワースト開幕9連敗》野手成績はそこそこ、防御率5.85の投手陣が改善すればだが… “矢野監督退任と士気の問題”が気になる

posted2022/04/05 11:03

 
《阪神ワースト開幕9連敗》野手成績はそこそこ、防御率5.85の投手陣が改善すればだが… “矢野監督退任と士気の問題”が気になる<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

佐藤輝明のハーフライナーにギャンブルスタートの近本光司が戻れず併殺ゲームセットなど、阪神は流れに乗れていない

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Hideki Sugiyama

 阪神タイガースはプロ野球草創期から存続する3球団のうちの1つであり、昨年までの通算勝率.516は、巨人(.582)、西武(.530)、ソフトバンク(.529)に次ぐ4位だ。弱い時代もあったが、長い歴史で見れば強豪チームの1つだと言えよう。

 その阪神がセ・リーグ記録の開幕9連敗を記録したのは意外なことだった。

<NPBの開幕からの連敗記録(7連敗以上)>※成績はすべて4月5日時点
1955年 トンボ 12連敗
浜崎真二監督 前年6位 最終8位(前年は高橋)

1979年 西武 12連敗(2分)
根本陸夫監督 前年5位 最終6位(前年はクラウンライター)

2002年 ロッテ 11連敗
山本功児監督 前年5位 最終4位

1961年 阪急 10連敗
戸倉勝城監督 前年4位 最終5位

2022年 阪神 9連敗(継続中)
矢野燿大監督 前年2位 最終?位

1979年 ヤクルト 8連敗(1分)
廣岡達朗監督 前年1位 最終6位

1954年 広島7連敗
白石勝巳監督 前年4位 最終4位

1988年 南海7連敗
杉浦忠監督 前年4位 最終5位

 10連敗以上の4例はすべてパ・リーグのチームだ。昭和の時代、パは経営的に苦しい球団が多く、親会社が代わり、新チームになることがしばしばあった。それもあってリーグ内の実力格差が大きく、大連敗が多かったのだ。

 7連敗以上の8例のうち、前年Aクラスだったのは今年の阪神と、1979年のヤクルトの2チーム。ともにセ・リーグだ。両チームともに優勝争いができる戦力を有していると見られながら開幕戦からつまずき、連敗のトンネルに入った。

接戦負けが5試合。2勝しててもおかしくなかったが

 阪神の連敗のデータを子細に見ていこう。

<戦績>
3月25日 ●阪神8-10ヤクルト〇
3月26日 ●阪神0-6ヤクルト〇
3月27日 ●阪神0-4ヤクルト〇
3月29日 ●阪神2-3広島〇
3月30日 ●阪神3-8広島〇
3月31日 ●阪神2-3広島〇
4月1日 ●阪神5-6巨人〇
4月2日 ●阪神4-5巨人〇
4月3日 ●阪神5-9巨人〇

 得点29 失点54。1点差負けが4試合、2点差負けが1試合。

 失点の方が倍近く多いが、それでも得失点差から割り出す「ピタゴラス勝率」という観点では、勝率.2238となり、2勝していてもおかしくなかった。阪神は「必要以上に負けている」と言えそうだ。ちなみに12連敗の1955年トンボは得点34、失点77、ピタゴラス勝率は.163だった。

打者と投手の個人成績を見ていくと

 続いて、打者と投手の個人成績はどうなっているのか。

【次ページ】 本来は投手力のチームが防御率5.85という誤算

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阪神タイガース
矢野燿大
佐藤輝明
近本光司
大山悠輔
藤浪晋太郎
ジェフリー・マルテ
西勇輝
秋山拓巳
湯浅京己

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