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「おまえたちは『投げ屋』じゃない」松坂、涌井、そして柳裕也(中日)…横浜高エース→GG賞獲得のウラにあった「小倉元部長の教え」 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/12/16 17:01

「おまえたちは『投げ屋』じゃない」松坂、涌井、そして柳裕也(中日)…横浜高エース→GG賞獲得のウラにあった「小倉元部長の教え」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

ゴールデングラブ賞を初めて受賞した中日・柳裕也。その裏には「小倉の教え」があった

 10月12日のヤクルト戦(バンテリンドーム)。同点の7回。一死一、三塁のピンチで、優勝目前のヤクルトは代打に宮本丈を起用。カウント1-1になったところで、スクイズを仕掛けてきた。しかし、柳は外し、打者は空振り。三塁ランナーを挟殺して窮地を脱した。「あの1球」には「小倉の教え」が凝縮されていたと柳は言う。

「サインは内角の真っ直ぐだったんです。正直、意識は打者との勝負にいっていて、スクイズを警戒していたわけではなかったんです。その中でバッターとランナーの動きが見えて、自然と外すことができた。体に染みついたものがあって、勝手に反応できたということなんです」

小倉元部長「おまえたちは『投げ屋』じゃない」

 小倉元部長の薫陶を受け、名手に成長した投手は他にもいる。柳が兄のように慕う松坂大輔と、自主トレをともにした涌井秀章である。松坂は7度(全て西武)、涌井も4度(西武とロッテ)のゴールデン・グラブ賞受賞歴を誇る。松坂のバント処理能力や涌井の牽制球テクニックは、紛れもなく超一流。横浜高校エースの系譜に、柳も名を連ねたことになる。

 そんな柳にはその後の野球人生において肝に銘じている、小倉元部長の言葉がある。

「おまえたちは『投げ屋』じゃない。そう言われたんです。駆け引き、牽制、クイックモーション。全部ができて初めて投手なんだぞと教わりました。その一方で、大学にしろ、プロにしろ、上のレベルに行ったときは投げることだけに集中させたいんだと」

 同じことを松坂や涌井にも伝えている。教え子を単なる『投げ屋』にはしたくない。もちろん横浜高校が甲子園で勝つための手段でもあっただろうが、その先を見据えていたからこその指導だった。同校出身者にフィールディング能力に優れた投手が多い理由がよくわかる。

受賞決定後、小倉氏に電話で報告

 受賞決定後、柳はすぐに恩師に報告の電話をしたそうだ。

「小倉さんのおかげで目標にしていた賞をいただくことができました」

 感謝の思いを伝えた柳に、受話器から照れた声が聞こえてきた。

「そんなことねえよ」

 感無量だったに違いない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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