藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
「《川島永嗣 40歳まで契約延長》はもっと高く評価されるべき」藤田俊哉が“元同僚”のフランスでの奮闘と人柄を絶賛するワケ
posted2021/10/19 11:01
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph by
JFA/AFLO
今夏、RCストラスブールが川島永嗣に2年の契約延長のオファーを出した。ベテラン選手(38歳)に複数年を提示するというのは、クラブの最高な評価に加えて絶大な信頼を感じる、価値あるものだ。
そして何より、これはヨーロッパの5大リーグのひとつ、フランスのLigue 1でのことだから快挙である。
それにサインしたことにより、川島は40歳までフランスのトップリーグに在籍する権利を得た。日本サッカー界にとっての誇らしいニュースである。
40歳までのトップキャリア契約はGKでも珍しい
GKは、その他のポジションよりも選手キャリアは長いと言われているが、それでも40歳までトップキャリア契約ができる選手を探すのは難しい。私も40歳までプロ選手としてプレーしたが、海外トップリーグにおいて、そこまでイメージすることはできなかった。
おそらく、この先の10年において同じようなオファーを見ることはできないだろう。
近年のプレミアリーグ(イングランド)や欧州のトップリーグにおいて、30歳を過ぎた選手には基本的に単年契約でのオファーが主流となっている。例外はあるが、選手はそのタイミングで大きな決断を迫られ退団に至るケースも少なくない。
古い歴史をもつヨーロッパサッカーは当然プライドも高い。外国人にポストを渡すことを基本的に考えない。
島国で育った私たちが文化の違う欧州の土地でプレーすることは想像以上の厳しさがある。もちろんライバルも多く、若い選手が次々に育つ環境がある。
選手育成に関する知識も豊富で経験のある指導者も多い。
その上、ヨーロッパの隣国には若くて才能豊かな選手が多いため、リスクを抱え日本や他のアジア諸国から選手を連れてくる必要がない現実もある。
グランパス時代から飛び抜けた意識の高さ
そんな高いハードルを承知の上でも、川島永嗣はヨーロッパでのプレーを目指して10代から淡々と準備を進めチャンスを狙ってきた。
その過程においては、イタリアへのトレーニング参加や英語、イタリア語の勉強などもしていた。外国人選手たちとも積極的にコミュニケーションをとっていた。名古屋グランパス時代にチームメイトとして時間を共にしたが、飛び抜けて意識の高い選手だった。