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「塁がファーストオプション」渡邊、エドワーズらが語る、エース八村の最高の“生かし方”とは? オリンピックで“格上”相手に日本が勝つための〈3つのポイント〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/24 11:01
7月18日のフランス戦で攻め込む八村塁。五輪本番でもいかに八村を生かすプレーが出来るに注目だ
『死の組』に入った日本は強豪相手にどう戦う?
このような進化の跡を見せ、歴史上初めて強豪フランスに勝った。小躍りしてもよさそうなのだが、そうはいかない。本大会での日本は『死の組』に割り当てられているからだ。オリンピックの参加国がわずか12カ国ということも関係しているが、FIBAランキング42位の日本のグループリーグの対戦相手は以下の通りだ(カッコ内はFIBAランキング)。
スペイン(2位)
アルゼンチン(4位)
スロベニア(16位)
スペインとアルゼンチンは2年前のW杯の決勝を戦ったチームであり(このときはスペインが優勝)、スロベニアは渡邊が「今は世界中どこを探しても、彼を一対一で止められる人はいない」と評する、ダラス・マーベリックスの大エースであるルカ・ドンチッチが率いる好チームだ。
1つでも勝てれば、「日本は新たな歴史を刻んだ」と国内外から高く評価されるような状況。待ち受けているのは、それくらい高いハードルなのだ。
「2人のキャプテン」に託された役割
最近ではスタメンのポイントガードとしてチームを動かす田中は、チームのもう1人のキャプテンだ(ラマスHCはどの大会でも2人のキャプテンを設けて臨む)。彼はフランス戦のあと、最後に任されたヒーローインタビューで日本中に呼びかけた。
「残念ながらオリンピックのバスケットボールは無観客での開催となってしまいましたが、3×3(*3人制バスケットボール)と、女子の日本代表と、男子の日本代表が『日本一丸』となってしっかり戦っていきます。みなさんも画面のむこうからも、どうか、声援を送ってください!」
思い起こされるのは、偉大なキャプテンとして6月までチームを引っ張ってきた篠山の姿だった。篠山は選手たちにもしっかり声をかける一方で、ファンやメディアやスポンサーに向けても団結を呼びかけてきた選手だった。今はまだ野球やサッカーほどの地位を築けていない競技だからこそ、みんなのサポートを得るための努力を彼は惜しまなかった。
田中は少人数でいるときにはユーモアに富んだ話をできる男だが、公の場でリップサービスをするようなタイプではない。それでも、篠山の意志を受け継ぐかのように、あの場面で力を込めてメッセージを送った。渡邊とは違う形で、一歩引いたところから全体のバランスをみて、チームを支えようとしている。それがもう1人のキャプテンの役割だと信じて。
今、ここで語れることはハッキリしている。
あまりに高いハードルを前に、日本代表12人の選手たちは同じ『ページ』にいるということ。
そして、共に戦ってきた者たちの想いも引き受けながら、彼らは一丸となって新しい歴史の1ページを刻もうとしているのだ。