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渋野&笹生のメジャー制覇、熾烈な賞金女王争い…若手台頭の女子ゴルフ界に「宮里藍」が与えた影響とは?
posted2021/06/19 11:01
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
F.Froger/D5/AFLO
日本のプロスポーツの中で近年、大きな盛り上がりを見せている女子ゴルフ。
2019年のAIG全英女子オープンに初出場で初優勝を成し遂げた渋野日向子、そして今年の全米女子オープンでは19歳・笹生優花がメジャー初制覇を達成し、日本中が沸いた。しかも笹生と優勝をかけてプレーオフを戦った相手が、22歳・畑岡奈紗だったことも時代の移り変わりを感じたものだった。
日本女子ツアーでもここ数年、若手の台頭が著しい。
渋野や勝みなみ、小祝さくら、原英莉花、大里桃子、河本結、新垣比菜など1998年度生まれの“黄金世代”を筆頭に、古江彩佳、西村優菜、安田祐香ら2000年度生まれの“プラチナ世代”、さらにその下の2001年度生まれには笹生、西郷真央、山下美夢有の“新世紀世代”と賞金ランキングでも上位争いしている選手たちがひしめく。
すでに今年に入ってツアー5勝を挙げ、一気に五輪代表候補最有力となった稲見萌寧はその狭間の1999年生まれだ。
国内ツアーを席巻していた韓国勢
少し時間を巻き戻すと、かつて渋野ら“黄金世代”が登場するまで、国内ツアーを席巻していたのは韓国勢だった。
今も根強い人気を誇るイ・ボミ、キム・ハヌルをはじめ、ベテランの李知姫、全美貞やイ・ミニョン、ユン・チェヨンなどがリーダーボードに名を連ねていた印象が強い。もちろん今も、元米ツアー賞金女王の申ジエ(今季賞金ランキング11位/6月13日付)、2019年から日本ツアーに参戦しているペ・ソンウ(今季賞金ランキング10位/同付)の強さは健在である。
そんな韓国勢台頭の背景には、“韓国ゴルフ界のレジェンド”と呼ばれるパク・セリの影響がある。
米ツアー参戦1年目となった1998年の全米女子オープンで「20歳9カ月」の史上最年少優勝(当時)を果たし、同年の全米女子プロゴルフ選手権でも優勝。メジャー2勝という驚くべき快挙は韓国で瞬く間に大きなニュースとなり、その偉業がテレビで生中継され、経済危機のなか、多くの国民が勇気づけられたというのは有名な話だ。
パク・セリの快挙を見て育ったのが、イ・ボミ、キム・ハヌル、申ジエ、パク・インビなど1988年生まれの選手たちであり、彼女らもまた韓国女子ゴルフ界の“黄金世代”と呼ばれていた。その系譜は今も引き継がれ、世界ランキング1位のコ・ジンヨンなど米ツアーでの活躍が続いている。
渋野や笹生のメジャー制覇は、それと似たような現象と言っていいだろう。きっかけを作ったのは、国民的アスリートの宮里藍だ。