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渋野&笹生のメジャー制覇、熾烈な賞金女王争い…若手台頭の女子ゴルフ界に「宮里藍」が与えた影響とは?
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byF.Froger/D5/AFLO
posted2021/06/19 11:01
現役ラストマッチとなった2017年エビアン選手権で笑顔を見せる宮里藍。世界を舞台に戦う姿を見た子どもたちが今、国内外で活躍している
すでにツアー通算2勝を挙げている西村には、こんなエピソードがある。小学3年生のころ、六甲国際ゴルフ倶楽部で行われた国内女子ツアーのサントリーレディスを観戦した。この時、“宮里藍”と初めて出会った。
当時、米ツアーを主戦場にしていた宮里の4年ぶりの大会出場とあって、伊丹空港には通路に収まりきらないほどの報道陣が詰めかけていた。小学生の西村からすれば雲の上の存在。そんなスター選手から西村は会場で直接ボールをもらうことができた。今もその記憶は鮮明に残っているという。
「藍さんにボールをいただいたんです。藍さんも小柄なのもあって、すごく影響を受けて、『絶対にプロになる!』と本気になりました」
プロゴルファーになるという夢を叶えるきっかけになったのだから、宮里藍の存在感は計り知れない。
だからこそ、宮里藍には逆に聞いてみたかった。日本での10代選手の台頭についてどう思うのかを――。
宮里にも憧れ、目標とする選手がいた
チャンスは、宮里が2016年のTOTOジャパンクラシックに出場した際に訪れた。
その年には畑岡が17歳で日本女子オープンを制し、その2年前には15歳の勝がアマチュア優勝を果たしていたころだ。
「特別に驚くこともない、というのが率直な感想です。米ツアーでもリディア・コが17歳で世界ランキング1位になっています。世界のゴルフの流れがそうなっています。誰かが1つ壁を超えると、選手は続いて出てきます。フィジカルに恵まれていて、技術もあって強い。バランスが取れている若い選手が増えていると思います。
私の時代は米ツアー通算72勝のアニカ・ソレンスタムというスターがいて、私も世界ランキング1位になりたいっていう目標が身近にありました。それがすごく大きかったです。今はその年齢がどんどん下がってきて、10代がナンバーワンになれる流れができた。それは大きいと思います」
宮里がアニカに憧れ成長したように、宮里に憧れた選手が世界で活躍するようになった。そうした流れを作ったという意味では、功績の大きさを改めて感じたものだった。
宮里は2017年シーズンで現役引退を発表し、今年6月19日に36歳を迎える。日本の女子ゴルフ史に新たに名を刻んだ渋野や笹生が登場したように、これからも新たなスター選手が誕生するかもしれない。ただ、その歴史を辿るたびに“宮里藍”の名は色あせることなく、語り継がれていくのだろう。
<【インタビュー】宮里藍 「1位だった間は辛い思い出しかないんです」世界ランクトップの座についたとき女王が抱えていた“悩み”とは>は「関連記事」からご覧になれます。
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