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10mの高さだと入水時の衝撃1トン、大ケガや恐怖感はないの…? 飛び込み玉井陸斗14歳が世界で戦えるワケを元五輪選手に聞いた
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byShidu Murai
posted2021/05/12 17:02
W杯で東京五輪出場権を得た玉井陸斗。14歳の彼を通して飛び込みの競技性を奥深く教えてもらった
「そうなんです、1~6群と呼んでいるんですが、その群から1つずつの種目を選択して、順番に1本ずつ飛んでいくんです。1つの群での演技はわずか2秒ほどなんですが、参加人数によっては2~3時間かかって、実は長い競技なんです(笑)」
――1~6群って、具体的な違いって何ですか?
「1群:前宙返り、2群:後ろ宙返り、3群:前を向いて後ろに回る技、4群:後ろを向いて前に回る技、5群:捻りを加えた技、6群:逆立ちからの技となっています。6群は高飛び込みだけで使われるものです」
衝撃は1トン、でも1日に1種目30本以上……
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――なるほど、ただグルグル回っているだけじゃないんだ。そもそも、飛び込みってどうやって練習するんですか?
「玉井選手たちは1日に1種目、30本以上は飛んでいるのではないでしょうか。ただ皆さんも想像できるかと思いますが、高い位置から飛び込めば飛び込むほど、身体に対する衝撃は大きくなります。例えば10mからの飛び込みとなると……1本飛ぶたびに1トンの衝撃がかかります」
――い、1トン……。
「玉井選手のように若ければ若いほど、その衝撃に耐えられるんですが、年齢を重ねると負担が蓄積していくので、徐々に本数を少なくしていくのが一般的です。体の負担も考えて、試合がない期間だと基礎練習として、トランポリンやマット運動に取り組んでいます。シーズンオフだと7割くらいが"陸での練習"になるんですよ」
入水時、衝撃は肩に来るんです
――なるほど。いわゆる"職業病"ではないですが、体のどの箇所に最も負荷が大きくかかるんですか?
「だいたい肩ですね。入水時、手を組んで水を当てるようにするんですけれど、その瞬間に衝撃が肩の部分に来るんです。入水したと同時に力を分散させるために水をかいて、"水に穴を開けた"ところに身体をバッと入れていくイメージなんです。でも少しでも腰が反れてしまったり、肩がイメージ通りの方向に行かなかったり、首を水の衝撃で痛めてしまったり。回転が上手くいかなくておなかから落ちると、ほぼ気絶状態で水中に沈んじゃったり、血を吐いたり、背中を切ってしまったり、脳しんとうを起こす危険性はあります」