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池江璃花子を利用した五輪「中止派」と「推進派」の発信に思う…今の状況で“100%の準備”をする選手たちの苦しさ

posted2021/05/13 11:02

 
池江璃花子を利用した五輪「中止派」と「推進派」の発信に思う…今の状況で“100%の準備”をする選手たちの苦しさ<Number Web> photograph by AFLO

21年の日本選手権に出場し、東京五輪への切符をつかんだ池江。五輪の辞退を要求する声が相次いだ

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 競泳の池江璃花子がツイッターに載せた言葉と、そこに記された内容が、さまざまな反応を起こしている。

「いつも応援ありがとうございます」から書き始められた5月7日の言葉が伝えたのは、オリンピック出場を「辞退してほしい」、オリンピック開催に「反対に声をあげてほしい」といったコメントが寄せられているのを知ったこと。

 それに対する思い、アスリートととしての心境だった。

 以下、池江のツイッターから引用する。

「五輪の中止を求める声が多いことは当然の事」

「私たちアスリートはオリンピックに出るため、ずっと頑張ってきました。

 ですが、今このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然の事だと思っています。私も、他の選手もきっとオリンピックがあってもなくても、決まったことは受け入れ、やるならもちろん全力で、ないなら次に向けて、頑張るだけだと思っています。

 1年延期されたオリンピックは私のような選手であれば、ラッキーでもあり、逆に絶望してしまう選手もいます。持病を持ってる私も、開催され無くても今、目の前にある重症化リスクに日々不安な生活も送っています。私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません。

 ただ今やるべき事を全うし、応援していただいてる方達の期待に応えたい一心で日々の練習をしています。オリンピックについて、良いメッセージもあれば、正直、今日は非常に心を痛めたメッセージもありました。この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです。

 長くなってしまいましたが、わたしに限らず、頑張っている選手をどんな状況になっても暖かく見守っていてほしいなと思います。」

【次ページ】 責任を問う相手は選手個人なのか

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