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「2年前のM-1は漫才師の“劣化版”で失敗した」おいでやすこがが決して“はい、どーもー”を言わない理由 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2021/04/21 11:01

「2年前のM-1は漫才師の“劣化版”で失敗した」おいでやすこがが決して“はい、どーもー”を言わない理由<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

おいでやす小田(右、ツッコミ担当、42歳)とこがけん(ボケ担当、42歳)

こが ほぼしてない。正確には、小田さんはしようとしてきているんですけど、それを僕が無視し続けている。なので途中、小田さんが「会話が一方的過ぎるやろ!」ってキレるんです。あそこでその不自然さを少し緩和させているんです。

――そもそもお二人が初めて漫才をしたのは2019年5月、大宮ラクーンよしもと劇場でのことだったと聞きました。何人かのピン芸人がツッコミ役とボケ役にわかれて、それぞれクジでコンビを決めたんですよね。

こが 僕はボケの方にいて、ツッコミの小田さんがクジでたまたま僕を引き当てたんです。そのときは、僕の持ちネタの中でツッコミを入れてもおかしくないものを選んで、そこに偶然居合わせた小田さんがツッコみまくるというネタを考えました。即席でやった漫才だったのですが、何組かいる中ではかなりウケた方だったんです。

――ということは、最初から今のような形が出来上がっていたわけですね。

小田 結果、そうなりましたけど、いざM-1に出ようとなったら、最初は漫才っぽいことをやってしまいました。2019年は、何か違うなと思いつつも、普通の漫才師の劣化版みたいなことをやっていましたね。

こが それぞれコンビを組んでいた時代もあるし、漫才師への憧れもあるから、漫才ができると思って、つい、はしゃいでしまったんでしょうね。互いにいちばん苦手なところにわざわざ手を出してしまったというか。

小田 それができないからピン芸人になったのにな。

こが 2019年は出ていくとき「はい、どうも」って言っていたと思います。

小田 普通のつかみも入れてました。「見た目が似た二人ですいません」みたいな。それって、もう漫才師なんですよ。だから当然、負けますよね。

――2019年のM-1は、歌でしりとりをする、というネタでしたよね。微妙な発声で終わって「おい、しりをくれよ!」みたいな。

小田 そうそう、しゃべろう、しゃべろうとしてたんです。

こが ネタ終わりの「もうええわ」も元気にやったりしてましたけど、結局、無理があった。だから、今回も、ぎりぎりまで「もうええわ」を言わないで済む方法を探っていたんですよね。

小田 他の言い方ないかな、って。僕は「もうええわ」って絶対言いたくなかったんで。なんなら、こがけんに言って欲しいぐらい。「もうええわ」に関しては、僕はいまだに言うのが恥ずかしいんです。

(【続きを読む】<あの日のかな~>おいでやすこが運命変えた4分間「カラオケネタは1秒変わらず間(ま)が決まっています」 へ)

(写真=石川啓次)

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