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【東京五輪】なぜ運営側は世間とズレてしまうのか？ 五輪銀メダリスト・山本博も“苦言”「無観客の判断が遅いよね」
posted2021/04/20 17:01
1962年生まれの山本博。5度五輪に出場。84年ロスで銅メダル、04年アテネで銀メダル。日体大教授
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Hideki Sugiyama
肉体の衰えは認めても、情熱の衰えはまだ微塵も感じていないようだ。
「さっき2限目の授業を終えて帰ってきたんだけど、4限目の授業まで時間があるからここ（日体大のアーチェリー場）で的を射とうと思ってね。少しでも空いた時間があれば練習をしたいんですよ」
41歳で出場した2004年のアテネオリンピックで銀メダルを獲得し、“中年の星”と讃えられた山本博は今も現役のアスリートだ。61歳で迎える2024年のパリオリンピック出場を目指し、教え子の大学生らに交じって黙々と練習を続けている。
一昨年、東京オリンピックの選考会は一次で落選した。だが、その後に肋骨の一部を切除する大きな手術に踏み切るなど、闘志は揺らいでいない。山本は「ここまで来たら人が笑っちゃうようなことをやりたいんですよ」と笑顔を見せる。
「僕くらいの歳になるとね、感動させるよりも（世間が）笑っちゃう。それくらいのことを成し遂げたい。かかりつけの接骨院で、『筋力がだいぶ戻ってきましたね』なんて院長に言われると嬉しくてね。まだ希望が見えるし、点数も伸ばせる可能性があるから辞められない。つながっちゃうんだよな、夢と現実が」
体育の嫌いなコも保健室に閉じこもっちゃうコもいる
そんな山本に訊いてみたいことがあった。
今のオリンピックをめぐる情勢について。開催か中止か、開催するならば観客は入れるのか入れないのか……。選手として過去5大会ものオリンピックに出場（1984年のロサンゼルスオリンピックでも五輪初出場で銅メダルを獲得）しているレジェンドだけに、思うことはたくさんあるだろう。
山本は問わず語りに話し始めた。
