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藤井聡太二冠の“最年少記録予報”を調べたら… 「達成しそうな記録」と羽生九段、渡辺名人ら“中学生棋士”の偉大さが分かった
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJIJI PRESS
posted2021/04/07 17:03
2020年度の最優秀棋士賞に輝いた藤井聡太二冠(代表撮影)
<最年少九段昇段>
渡辺明名人/21歳7カ月
2020年度が終了した時点で藤井二冠は「八段」であるが、日本将棋連盟の「棋士昇段規定」によると、以下の4つの条件のうち1つを満たせば「九段」昇段となる。
・竜王位2期獲得
・名人位1期獲得
・タイトル3期獲得
・八段昇段後公式戦250勝
最も可能性が高いのは3つ目の「タイトル3期獲得」だろう。藤井二冠は現在保持している王位・棋聖のいずれかを防衛、もしくは新たにタイトルを手に入れた時点でタイトル3期となるためだ。
現在の記録保持者である渡辺名人の九段への道も“登り竜”だった。まだ20歳で当時の段位が「五段」だった04年、ランキング戦4組で優勝すると決勝トーナメントも一気に勝ち上がり、最後は森内俊之九段をフルセットの末に下して初のタイトル獲得となった。
「竜王位1期獲得」を満たしたことで八段に昇段した渡辺名人は、翌年の第18期で木村一基九段をストレートで下して防衛。これで竜王位2期獲得をクリアして、九段に昇段した。これを含めて竜王9連覇を達成しているのだから……将棋のライト層ファンにも、7日からの名人戦に臨んでいる渡辺名人の非凡さが伝わるのではないか。
更新が相当難しい最年少記録って?
その一方で「難関の最年少記録更新」が1つある。
<最年少名人獲得>
谷川浩司九段/21歳2カ月
藤井二冠が更新できる“期限”/2023年9月
2021年度はB1に昇級する藤井二冠だが……
(1)「鬼の住処」と呼ばれるほど実力者揃いのB1を1期で抜ける
(2)2022年度の順位戦A級でトップの成績を残し、名人挑戦権を獲得
(3)2023年度の名人戦七番勝負で先に4勝する
この3条件をすべて満たさない限り、最年少名人獲得は実現しないのである。