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藤井聡太二冠の“最年少記録予報”を調べたら… 「達成しそうな記録」と羽生九段、渡辺名人ら“中学生棋士”の偉大さが分かった
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJIJI PRESS
posted2021/04/07 17:03
2020年度の最優秀棋士賞に輝いた藤井聡太二冠(代表撮影)
谷川九段の足跡、加藤九段が持つ偉大すぎる記録とは?
「C2→C1→B2→B1→A」というピラミッド方式である順位戦の方式もあって、最年少記録を更新するためには“足踏み”が1回しか許されない。それがすでに超高いハードルである。
藤井二冠は2018年度に9勝1敗という好成績ながら昇級を逃した。また順位戦通算成績を見ると「39勝1敗」というとんでもない数字なのに、すでに“1回しかチャンスがない”状態となっている。
それを踏まえると――谷川九段が達成した「21歳2カ月」の持つ凄みを分かってもらえるのではないだろうか。谷川九段が、最年少名人に駆け上った道のりをあらためて見直してみた。
順位戦2年目から4期連続での昇級でA級に上がり、そのA級で7勝2敗の成績を残すと中原誠十六世名人とのプレーオフを制して第41期名人戦への挑戦権を得る。そこに待ち受けたのが加藤九段で、4勝2敗の末に最年少名人を獲得……対局した相手がレジェンドだらけで、調べているこちらが震えてしまいそうである。
18歳3カ月でA級昇級!
そして前述した“ひふみん”こと加藤九段の「20歳3カ月」での名人戦挑戦もすごい。こちらも史上初の中学生棋士として順位戦デビューしてから4年連続で昇級を果たして、「18歳3カ月」という最年少A級昇級記録を持っている。ちなみにこれ、生まれた日付の関係から、藤井二冠がデビューした時点で更新できないものだったことが知られている。
バラエティー番組で人気者になった加藤九段だが、こういった記録が「神武以来の天才」と呼ばれた所以であろうし、これが将棋界における「最難関の最年少記録」なのかもしれない。
こうして見ていくだけでも……最近“観る将”になった人たちにも、藤井二冠が挑む記録を通して、数々の名棋士、特に羽生九段、渡辺名人、谷川九段、加藤九段という過去の中学生棋士4人のスゴさをわかってもらえるのではないだろうか。
ABEMAトーナメントの棋士エントリーがすごく増えたり、NHK杯に評価値が出るようになったりと新年度も話題が多い将棋界だが、藤井二冠とともに彼らが繰り広げる一局一局を楽しみたいところだ。
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