テニスPRESSBACK NUMBER
留学も英才教育もなし…それでも“世界4位になった”伊達公子に聞く「部活から世界に羽ばたくことは可能ですか?」
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph byYuki Suenaga
posted2021/04/05 18:41
元プロテニスプレーヤーで現在はジュニア育成に力を注ぐ伊達公子氏と、日本テニス協会名誉顧問の盛田正明氏の対談が実現した
というのも結局は、テニス選手のキャリアは他の職業に比べて短く、その後の方が長い。高校時代は伸びる時期なので、テニスに費やしたいと思うのは当然です。ただ、テニス選手に求められるスキルはたくさんあるなかで、学校の勉強がコートの中にも還元される。学ぶ時間は確保する方がいいと思います」
一見、例外に見える突出した才能や成功の中から、中核となる普遍性を見いだし次代に伝えることが、教育や育成の本質だろう。その意味で伊達公子は、自身の中から普遍性を取り出し、ジュニアたちに教えようとしているのかもしれない。
「他の選手たちの刺激になれば」と復帰した37歳の時から…
26歳でファーストキャリアに区切りをつけた伊達が、再びコートに戻ってきたのが37歳の時。その背景には、「同じコートに立つことで、他の選手たちの刺激になれば」という、いわば「強化」への思いがあった。
ADVERTISEMENT
「それでも何も変わらなかった現実があるなかで、ならば次世代を育てようと、育成にシフトしたんです」と、元世界4位は言う。
もちろん、一朝一夕で成果が出るものでもないことは、本人も重々承知のうえ。だからこそ「あと何年、育成に携わりそうですか?」との問いに、彼女は満面の笑みで応じた。
「何年くらい? 体があと何年動くか……最近調子が良いんですが、あと10年やったら、60歳ですよ、私! でも、60くらいまでは軽くいきたいところです。最低10年。そうでないと、子供も簡単に育つわけではないので。最低10年くらいは元気で動いていきたいと思っています」
(【前編を読む】伊達公子が聞く、錦織圭を輩出した“盛田ファンド”のジュニア育成術「日本では良いテニスをしても、海外でダメになる子もいる」へ)
「週刊テニスNAVI」
公式サイト)https://www.wowow.co.jp/detail/172167