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武藤敬司の“ノア入団”は何を意味するのか 会場がどよめく武道館の潮崎戦にみた「老いぼれ」の底力
posted2021/02/20 17:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Masashi Hara
武藤敬司が“メジャー3大王座制覇”の偉業を達成した。
IWGPヘビー級王座(新日本プロレス)初戴冠は1995年(グレート・ムタとしては92年)、全日本プロレスの三冠ヘビー級王座は2001年に獲得した。そして2021年、プロレスリング・ノアのGHCヘビー級チャンピオンに。
キャリア36年、58歳はもちろん王座史上最高齢だ。2月12日の日本武道館大会で下した相手は潮崎豪である。昨年1月に戴冠すると6度の防衛に成功、計7回のタイトルマッチすべてが大激闘。潮崎こそは“名門復興”の象徴であり、丸藤正道はタイトルマッチについて、こう語ってさえいる。
「極端な話、潮崎への挑戦者は一定以上のレベルにある選手なら誰でもいいくらいです。今の潮崎はノアそのものですから」
そんなチャンピオンに、武藤は「老いぼれだけど夢は見ていいだろ」と挑戦を表明し、そして勝ったのである。
ノア11年ぶりの武道館大会に見た“新しさ”
今回の武道館大会は、ノアにとって11年ぶり。大事な大会で“外”の選手が挑戦することを嫌うファンもいた。ただノアは三沢光晴たちが“新しさ”を求めて旗揚げした団体でもある。
新日本プロレスやZERO1と交流して夢の対決を実現させ、選手が望めば総合格闘技への参戦も許可した。武藤が王座に挑戦するという光景は、ノアらしい“新しさ”だとも言えるのだ。
昨年は藤田和之が潮崎に挑戦。また現在、杉浦貴とともにタッグベルトを巻いているのは桜庭和志だ。今回の武道館大会では拳王vs船木誠勝というカードが実現している。こうした“格闘系レジェンド”と闘い、ノアの選手たちがグラウンドなどで普段とは違う力を発揮するのも“今のノア”だ。丸藤に言わせれば、それもまたノアの歴史を踏まえてのこと。
「三沢さんが小川(直也)さんとタッグで当たって、グラウンドで力を見せた時がありましたよね。みんな“やっぱり三沢は強いんだ”となった。“三沢ならヒクソン・グレイシーに勝てる”という幻想みたいなものもあって。そういうイメージ、実力を持っておくことは非常に大事だと考えてます」