第97回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

初めてシード校として臨む東京国際大学の勢い。前回メンバーが8人残る明治大学の安定感。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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photograph byAsami Enomoto

posted2020/12/23 11:00

初めてシード校として臨む東京国際大学の勢い。前回メンバーが8人残る明治大学の安定感。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

全日本大学駅伝の2区で好走した東国大・丹所(左)と、明大のエース・小袖。箱根駅伝でも主要区間への配置が予想される。

明治大学

第96回箱根駅伝(前回大会):総合6位
3年連続、62回目

Head Coach of the TEAM:山本佑樹

攻めて、攻めて、攻め続けて往路優勝を狙う。

文=和田悟志

 3年前の2017-18年シーズン、明治大学はどん底にあった。箱根駅伝予選会で13位に終わり、本大会への出場権を逃したのだ。

 ちょうど今季の4年生が入学した年のことだった。

 この年、コーチとして明大のスタッフに加わっていたのが、現在駅伝監督を務める山本佑樹だ。実は山本もまた、自身が学生だった頃に同じような憂き目に遭っていた。

 大学1年時、ルーキーながら日大のエースだった山本は、箱根駅伝予選会で日本人1位(全体2位)の活躍を見せた。ところが、チームは敗れ、47年続いていた連続出場記録が途切れた(当時は6位までが本大会に進むことができたが、日大は8位だった)。

 だが、この話には続きがある。

 翌年の箱根駅伝予選会でも山本は2年連続で日本人1位(全体2位)の活躍を見せると、日大はぎりぎり6位通過で箱根路への復帰を果たした。そして、箱根駅伝ではシード校に返り咲くことに成功。さらに、大学4年時には総合5位と躍進を果たしたのだ(もっとも、山本は最後の箱根駅伝をケガで走れなかったのだが……)。

今秋、最も評価を上げた明大

 現在、明大が描こうとしているV字回復の軌跡は、山本が在学していた頃の日大に重なる。そして、今季の明大は目標に“箱根駅伝5位以内”を掲げた。

「僕自身、“予選落ちから5位”というのを学生時代に経験していたので、1年1年、前向きに進んでいけば、そこ(5位)まで到達できるというイメージがありました。また、当時の1年生、つまり現在の4年生には、“大学生は1年で大きく変われるから”という話をしてきました」

 山本の言葉通り、明大は3年前から大きく変貌を遂げた。

 秋。駅伝シーズンを迎える頃、最も評価を上げたのは明大だろう。昨季までのエース、阿部弘輝(現・住友電工)が卒業した穴をいかに埋めるかという大きな課題を抱えていたが、「エースは誰だ!?」という山本の問いかけに多くの選手が応えた。阿部のような突出したエースはいないものの、4年の小袖英人、3年の手嶋杏丞、鈴木聖人、2年の加藤大誠、櫛田佳希、1年の児玉真輝ら、各学年にいる“エース候補”たちが存在感を示すようになった。

 そして、全日本大学駅伝では3位に食い込み、“3強”の一角を崩すことに成功。一時は先頭に立つ場面もあった。

 さらに、全日本大学駅伝の後にあった2度の早大競技会では、5000m、10000mともに好記録が続出した。学生トップランナーの証とされる5000m13分台は12人、10000m28分台は15人に達した。総合力は、昨季以上と見ていい。

【次ページ】 山本監督のうれしい悲鳴

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