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巨人のライバルは本当に“阪神”なのか? 順位、直接対決……《阪神vs巨人》を徹底分析してみた

posted2020/11/10 11:02

 
巨人のライバルは本当に“阪神”なのか? 順位、直接対決……《阪神vs巨人》を徹底分析してみた<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama/KYODO

巨人の原辰徳監督と阪神の 矢野燿大監督

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橘木俊詔

橘木俊詔Toshiaki Tachibanaki

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Hideki Sugiyama/KYODO

 新型コロナウイルス禍での開催となったプロ野球の2020年シーズン。セ・リーグは巨人が2年連続38回目の優勝を成し遂げた。ライバルの阪神はセ・リーグ2位である(11月9日現在)。

 巨人と阪神のライバル関係は、プロ野球ファンのみならず多くの日本人も認めるところであるが、なぜこの2チームの対戦が「伝統の一戦」と。語り継がれるのか――。甲子園球場の近辺に生まれ、現在も熱狂的な「虎キチ」である経済学者の橘木俊詔氏が徹底分析する。
※本稿は、橘木俊詔著『阪神VS巨人 「大阪」VS「東京」の代理戦争』(潮新書)の一部を、再編集したものです。

 1950(昭和25)年に2リーグ制になってから現在までの巨人と阪神のチーム成績を、セントラルリーグの順位に基づいて評価しておこう。この表【巨人と阪神の順位から見た成績】は、順位の成績と、Aクラス(第1位から第3位まで)とBクラス(第4位から第6位まで)に何回入ったかの表を示したものである。それぞれのチームにおける年度の成績(監督名、勝利数、敗戦数、引き分け、勝率、順位、監督の現役時代のポジション)を示した表も用意した。

順位で比較してみたら……

 明らかなことは、戦後の70年ほどの長期間にわたって、巨人の成績が阪神のそれを大幅に上回ると結論づけられる。巨人はセントラルリーグの優勝が37回にも達しており、およそ5割強のシーズンで第1位という優勝を果たしているという素晴らしい成績である。さらにBクラスに入った、すなわち4位以下のシーズンは8回だけにすぎず、常にAクラスにいたという好成績の球団であった。球界の盟主巨人というイメージは、成績から評価する限りは紛れもない事実である。

 これに加えて観客動員数もセ・パ両リーグを通じて1~2位を占めているので、巨人は球界の盟主たる地位にいた。現在はそれほどでもないが、一昔前は「人気のセ、実力のパ」と言われていたので、巨人は人気度でもセリーグのみならず、日本のプロ野球を代表する第1位であった。

 巨人と比較すると阪神の成績は非常に見劣りがする。70年ほどの間に優勝は5回にすぎないし、逆に6位という最下位が12回もある。最下位というのは恥と理解してもよいほど悪い成績である。せめてもの救いはAクラス39回がBクラスの31回を少し上回っていることと、2位というのが19回でもっとも多くて「万年2位」という称号を与えてもよい特色を有している。この万年2位という特色は阪神を評価するときにとても重要な性格なので記憶しておきたい。

 ここで強調しておきたいことは、阪神の成績は巨人と比較するととても悪いが、人気度を比較すると両チームはほぼ同等であり、しかも本書全体を通じて、それがなぜであるのか、そしてその意味を探究することが目的といっても過言ではない。「伝統の一戦」と常に称されているほどのライバル球団である。

【次ページ】 直接対決は「巨人の圧勝」

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