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目黒区の町クラブ→欧州王者! セビージャで奮闘する日本人分析官の軌跡
posted2020/09/17 11:50
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
8月21日、ケルンのミュンゲルスドルファー・シュタディオン。セビージャが最多6度目のヨーロッパリーグ制覇を成し遂げたピッチ上に、1人の日本人の姿があった。
「12年スペインにいるんですけど、やってきたことが1つの形となって、ようやく報われた瞬間でした」
歓喜の瞬間をそう振り返ったのは、対戦相手の分析ビデオ作成などを手掛けるスタッフとしてジュレン・ロペテギ監督をサポートしてきたセビージャのアナリスト、若林大智だ。
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スペインに渡る以前、若林は草の根レベルでサッカーを教える無名の指導者だった。
選手としてのキャリアは東農大一高サッカー部が最後。大学進学後は東京都目黒区にある鷹の子サッカークラブで指導をはじめた。
「担当していたのは小学1年生から6年生。日本によくあるサッカークラブというか、小学校を借りて活動をしているチームでした」
プロの監督になるという夢を持っていた彼は、学生時代から海外に行くことを決めていたという。理由は「自分はプロになれずに死んでいくんじゃないか」という危機感だった。
「プロの監督になりたいけど、日本はライセンスが取りづらい。だからプロの選手経験がなくてもライセンスが取れる国に行って、まずはライセンスを取って一歩夢に近づくのが自分の道なんじゃないかなと思って」
「なんだあのクラブは?」
そんな思いでスペインへと飛び立ったのは2008年6月。スペイン代表が44年ぶりのEURO制覇を成し遂げる直前のことだ。
行き先にセビージャを選んだのは、当時国内外で躍進していたセビージャFCのフットボールに惚れ込んだからだった。
「選手はそこまで有名じゃないのに、2強(レアル・マドリー、バルセロナ)と対等に点を取り合う。本当に強かったので、『なんだあのクラブは?』と思って。どうせなら好きなチームがあるところに行こう。それプラス、ライセンスが取れる場所ってところでセビージャを選んだんです」