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リバプール&マンC「2強時代」に割り込むのは……2020-21プレミア大展望
posted2020/09/17 20:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
プレミアリーグの新シーズン開幕1週間前、久しぶりにロンドン市内を地下鉄で移動した。
伸び放題だった“ロックダウン・ヘアー”の散髪に出かけたのだが、乗客がまばらな車内には駅でドアが開く度に「マインド・ザ・ギャップ」の音声が聞こえてくる。日本の駅で言えば「足下にご注意下さい」とのアナウンスに相当するが、自動的に何度も繰り返されるフレーズは、外国人でも耳に付くロンドンの地下鉄のキャッチフレーズである。
いきなり話がサッカーから逸れてしまったが、やはり大きなギャップが存在する、プレミア2020-21シーズンのキャッチフレーズにもなりそうだ。
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昨季、2位には18ポイント、3位には33ポイントもの大差をつけたリバプールは、プレミア連覇を狙う今季も優勝の最有力候補であり続ける。
7試合を残して断トツ優勝が決まるまでの昨季、その前シーズンと同じくリーグ戦で1敗のみだった安定した強さは驚異的である。ユルゲン・クロップ率いるチームは、ボールロスト後のプレッシングからして攻撃的だが、ゴールマウスにアリソン・ベッカー、最終ライン中央にフィルジル・ファンダイクを擁する守備力も、失点数は2年連続で20チーム中最少のリーグ最高レベルである。
南野が馴染み、チアゴを獲得したら……
そして看板の攻撃力は、守備面に万が一があっても問題ない程で、9月12日の今季開幕戦でも物を言った。
3度追いつかれたリーズ戦での2失点でアリソンの反応が疑問視されても、失点に繋がるミスがファンダイクにあっても、そのファンダイク自身のパワフルなヘディングと、決勝のPKを含むモハメド・サラーのハットトリックで白星スタートを切った。
巷では、30年ぶりのリーグ優勝以上に困難と言われる、36年ぶりのタイトル防衛に臨むプレッシャーが指摘されている。
だが、本調子ではなかった開幕戦で、17年ぶりのプレミア復帰に意気揚がる相手に番狂わせを演じさせなかったあたりはさすがだ。サラーをはじめ、主力が変わらない状態を不安視する向きもあるが、移籍3年目のナビ・ケイタは、先発のチャンスを生かせなかった開幕戦を受けて、中盤の主力を目指す上で良い意味での危機感を覚えているに違いない。
ベンチ止まりだった南野拓実は、今季が新戦力としての本格的な1年目となる。加えて、指揮官が噂を否定してはいないチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)の獲得が実現すれば、「鬼に金棒」ならぬ“レッズにアルカンタラ”。前線と後方に加え、中盤にもワールドクラスがいるチームとなる。