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八村塁、ルーキーの遠慮はもうない。
クリッパーズ戦のミスにあった意図。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDavid Dow/NBAE via Getty Images
posted2020/07/27 20:00
主軸不在の中、クリッパーズとの練習試合で存在感を見せた八村塁。シーズン再開に向けて着々と準備を進めている。
ルーキーらしい“遠慮”はなくなった。
今夏、八村は様々な形で向上ぶりを感じさせてくれている。22日のナゲッツ戦では18得点、9リバウンドと好スタートを切った。リーグ最高級の2ウェイプレイヤーであるカワイ・レナードとマッチアップしたクリッパーズ戦でも、15得点、10リバウンドというハイレベルの数字。この2試合ではどちらもチーム最多のFG試投数を記録し、オフェンスの軸となってきた。
「コーチからも『積極的に行け』と言われてました。DB(ダビス・ベルターンス),ブラッド(・ビール)、ジョン(・ウォール)がいないので、『僕がやらなければいけない』という責任を持ってやりました」
ナゲッツ戦後にそう振り返っていたが、辞退者続出のチーム内で八村には主軸としての自覚と責任感が感じられる。というよりも、3月のシーズン中断前までに散見したルーキーらしい遠慮がついになくなったといった方が適切だろうか。
NBAでも日本の常識をぶち壊すような活躍を続けてきた八村だが、今シーズンを通じて日本人らしい気遣いは随所に目についた。第4クォーターに“消える”時間帯が多かったのには、チームの戦術以外の理由もあったのではないかと想像する。コート外でも入団したばかりのルーキーが他の誰よりも多いメディアに囲まれ、居心地の悪さを感じることも少なくなかっただろう。
「リーダーの1人にならなければ」
ただ、ここでビール、ウォール、ベルターンスが不在となって、今ではチーム内での平均得点でも八村が1位。再開後のウィザーズ は、“八村のチーム”と呼んでも大袈裟ではない陣容になった。八村自身も「自分がリーダーの1人にならなければいけない」とすら公言している。
先輩たちがいない方がやり易いとまでは思っていないにしても、遠慮なくプレーできる環境なのは事実のはずだ。現場への立ち入りが制限された今、私たちメディアも八村の普段の姿は目にできないが、再開後は記者会見での言葉も味のあるものが増えたのは偶然ではないのかもしれない。