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八村塁、ルーキーの遠慮はもうない。
クリッパーズ戦のミスにあった意図。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDavid Dow/NBAE via Getty Images
posted2020/07/27 20:00
主軸不在の中、クリッパーズとの練習試合で存在感を見せた八村塁。シーズン再開に向けて着々と準備を進めている。
守備の改善、第4Qのパフォーマンス向上。
もちろんオーランドの“バブル”に入って以降、八村が完璧なプレーを続けていると言いたいわけではない。本人は「プレーメーカーになること」を再開後の目標の1つに挙げていたが、アシストはクリッパーズ戦では2つ、ナゲッツ戦で1つのみ。まだ広い視野で周囲を眺め、チームメイトたちのスペースを生かすまでには至っていない。また、ディフェンス面ではポジショニングと反応の悪さといった改善点がいまだに残っている。
クリッパーズ戦では最後に見せ場こそあったものの、最終クォーターにボールタッチが減るシーズン中からの課題は解消されていない。これに関し、ナゲッツ戦後には八村も「コーチ陣、チームと話していく」と述べていた。練習試合の終盤は主力が交代していることが多く、チャンスが作れないのは仕方ない部分もあるが、第4クォーターのパフォーマンス向上が今後の大きなポイントであることに変わりはない。
「今日の試合は成長の大きな機会だった」
ただ……八村はまだルーキーなのだから、課題があるのは当然ではある。向上させるべき部分が数多く残った上で、それでもニコラ・ヨキッチ、レナード、ポール・ジョージといった大物とわたりあった姿は力強さを感じさせる。特にまだ明らかに調整中とはいえ、レナード(ウィザーズ戦ではFG3/16、3P0/8で6得点)をはるかに上回るプレーをしたことは本人の自信にもなるだろう。
「塁にとって今日の試合は成長の大きな機会だった。リーグ屈指のディフェンダー相手にいいテストだった。あの2人(レナード、ジョージ)はMVP級の選手だ。そんな中、しっかり戦った。彼の負けん気、努力とタフネスが私たちを強くしてくれる。塁は非常にクールで、容赦のない選手だ。調子が良いのか、悪いのか、見るだけではわからない。やるべきことをしっかりやる。塁の性質はレナードに似ていると思う」
クリッパーズ戦後にはウィザーズのスコット・ブルックスHCもそう語り、八村の頑張りへの称賛を惜しまなかった。