All in the Next ChapterBACK NUMBER
衝撃KO、怪我……波乱の1年を経て。
堀口恭司が描く2020年のストーリー。
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byAsami Enomoto
posted2020/01/28 08:00
1990年10月12日、群馬県生まれ。30歳を迎える年に、再起を期す堀口。復帰戦は9月か。
朝倉海に食らったカウンター。
――8月に朝倉選手に敗れたときも、コンディションは悪かったですか。
それは言い訳になってしまうので、あまり言いたくないです。負けたので、結果がすべてです。
――朝倉戦の映像は見ましたか。
見ましたよ、何回も。
――相手がカウンターを狙っていることは感じていましたか。
そこまで感じていませんでした。相手というよりも、やっぱり自分の動きが悪いなと思いました。踏み込みが甘かったんです。
――負けることへの恐怖心は感じましたか。
パンチをもらった瞬間の記憶はないので、怖さはないですね。ただ、応援してくれるファンの方々に対して、改めて「うわあ、負けちゃダメだな」と感じました。支えてくれる家族に対してもそうですけど、勝ってこそ感謝を示すことができて、恩返しになるので、負けたらそれができないわけですから。
――昨年は那須川天心選手や、ボクシングの井上尚弥選手の試合も盛り上がりました。年下の彼らを見ていて参考になるところはありますか。
天心君も井上君も、目と勘がいいんですよ。相手がこう動いたら攻撃はこう来るだろうな、という。自分も勘はいい方だと思いますけど、彼らは相手との距離が自分より近いと思います。自分ももっと近い距離で、相手の動きを読めるようにした方がいいなと思いました。
――近いとは、具体的にどのくらいですか。
1歩か、1歩半くらいですね。
――その約50cmを詰めるというのは、相当に難しいことじゃないですか。
それは練習で何度も繰り返して、相手の動きから攻撃を読むクセをつけていくしかないです。レベルアップは難しいと思った瞬間にできなくなるので、これまでも常にできると思ってやってきましたから。
「自分のペースにするのが上手い」
――大晦日に那須川選手が江幡塁選手に勝った試合を見て、何を思いましたか。
やっぱり強いな、自分のペースにするのが上手いなと思いました。格闘技は、自分のペースにした者が勝つので。
――WBSSでノニト・ドネア選手に勝った、井上選手はどうですか。
ずっと1ラウンドKOとか早期決着で来ていたので、長いラウンドはどうなるんだろうと思っていましたし、決勝戦は相手も上手くてペースのつかみ合いになっていましたけど、最終的には自分のペースにしていてすごいな、と。
――自分のペースにする、というのはどういう技術ですか。
自分の好きな距離で、得意な打撃ができることです。試合だから相手も動きますけど、それでも自分の思い通りに動かせたり。そのためには自分の得意技をしっかり当てて、相手にやりづらいなと思わせることが必要です。