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小林陵侑が即答した「優勝したい」。
ジャンプ週間4位も照準はW杯連覇。

posted2020/01/10 08:00

 
小林陵侑が即答した「優勝したい」。ジャンプ週間4位も照準はW杯連覇。<Number Web> photograph by AFLO

小林陵侑は今季のW杯ですでに3勝。総合連覇も射程にとらえる中で後半戦のビッグジャンプに期待したい。

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長谷部良太

長谷部良太Ryota Hasebe

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 ワールドカップ(W杯)個人第11戦を兼ねた伝統のジャンプ週間最終第4戦。1月6日、オーストリアのビショフスホーフェンは氷点下4度近くまで下がったが、ドイツを含めて4つのジャンプ台を転戦する今季のジャンプ週間の中では「まし」な方だった。

 観衆1万5000人の熱気の中に飛び込むようにして、ジャンパーたちは空気を切り裂く音を立てながら次々と飛躍を重ねていく。予選の上位と下位が1対1で対戦するジャンプ週間特有のルールで行われた本戦の1本目。飛距離が伸びにくい追い風が吹き続け、自然の条件はほぼ平等だった。

 小林陵侑の出番がやってきた。

 昨季はジャンプ週間で船木和喜以来、日本勢21季ぶりの総合優勝を史上3人目の全勝で飾り、そのままシーズンを駆け抜けて日本勢初のW杯総合優勝に輝いた23歳のニューヒーロー。この日は黒いジャンプスーツ姿で、胸にはW杯総合得点首位だけが許される黄色いビブ。青と銀色に輝くデザインのヘルメットは、快進撃を見せた昨季後に契約を結んだレッドブルのものだ。

 2頭の赤い牛が角を突き合わせるロゴマークは一流ジャンパーの証しで、他の選手ではW杯男子最多の通算53勝を誇るグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)が着けている。

 傾斜が緩く、長いのが特徴の助走路で低い姿勢を保ち、空中へ飛び出す。K点の125メートルを大きく上回り、着地ではテレマーク姿勢が決まった。135.5メートル。悪くない。

 しかし、その表情に喜びの感情はなかった。ジャンプ週間総合4位からの逆転に望みをつなぐには、ヒルサイズの142メートルを越えるほどの大ジャンプが必要だったからだ。

2本目で138メートルをマークも。

 1本目は最長不倒の143メートルを飛んだライバルのクバツキ(ポーランド)がトップに立ち、ジャンプ週間総合でも首位を守った。11位と出遅れた小林陵との差は13.8点で、飛距離に換算すると7メートル以上の大差がついていた。

 スポーツ放送局「ユーロスポーツ」の実況者は「陵侑は完全に蚊帳の外というわけではありませんが、この大会も、フォーヒルズ(ジャンプ週間)も勝てるとは思えません」と言った。それは誰の目にも明らかだった。

 2本目は138メートルまで伸ばしたが、上位には及ばず7位。ジャンプ週間総合でも4位に終わり、表彰台には届かなかった。

【次ページ】 「結構、信じられないですね」

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