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小林陵侑が即答した「優勝したい」。
ジャンプ週間4位も照準はW杯連覇。
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byAFLO
posted2020/01/10 08:00
小林陵侑は今季のW杯ですでに3勝。総合連覇も射程にとらえる中で後半戦のビッグジャンプに期待したい。
「結構、信じられないですね」
表彰式を盛り上げる大音量の音楽と歓声が響く中、小林陵は感情の起伏を押さえたいつものトーンで取材に応じた。
――2連覇はならなかったが、ジャンプ週間を振り返り、どうだったか。
「う~ん……。まあ、どうだったんですかね……。良かったっす」
――2本のジャンプを振り返ると。
「1本目は微妙だったかなという感じですね。ジャンプも、風も。(2本目は1本目)より良かったんじゃないですかね」
――王者として臨んだジャンプ週間で感じたことは。
「感じたこと……。まあ、レベルが高いですね、やっぱり。誰が勝ってもおかしくなかったと思うし」
――ジャンプ週間の総合得点でトップと差がついた要因は。
「う~ん…。流れが全体的に、1戦目で終わってしまったことは大きかったと思いますし。その中であまり運も味方してくれなかったり。まあ、しょうがないんじゃないですか」
――昨季は4戦全勝で総合優勝した。自分のやったことのすごさを感じたのでは。
「結構、信じられないですね。へへっ。やばいっす」
ジャンプ週間第1戦は最高だったが。
「話すのが得意じゃない」と小林陵は自己分析する。取材エリアでも口数は多くない。取材中に話してもらう言葉の中から勝因や敗因を読み解くのに苦労するタイプの選手ではあるのだが、この日はいくつかのポイントが示されていた。
まずは「流れが1戦目で終わってしまったこと」。
昨年12月29日に行われたジャンプ週間第1戦のオーベルストドルフ大会は、最高の滑り出しだった。1本目からトップにつけ、2本目も全体2位の得点を稼いで余裕を持って逃げ切った。W杯としては2連勝で、今季3勝目。昨季からはジャンプ週間5連勝となり、これは史上最多に並ぶ快挙だった。
有力選手が招待されたジャンプ週間開幕前の記者会見で、多くの欧州メディアを前に「今年もビッグジャンプができるように、楽しませられるように頑張ります」と誓った通りの好飛躍をそろえ、総合連覇は堅いのでは、とさえ思わせた。