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スノボーの父、J・バートン逝く。
すべてを“滑り”に捧げた男の人生。
posted2019/12/20 11:15
text by
野上大介Daisuke Nogami
photograph by
BURTON
11月22日深夜、BURTON JAPANのスタッフより突然の訃報が舞い込んだ。BURTON共同CEOのジョン・レイシーより送られた全社メールに綴られていた言葉とともに。
「愕然とした気持ちの中、ジェイクが昨晩、家族や愛する人たちに見守られながら、安らかに旅立ったことをここにお知らせします。ガンの再発による合併症が原因でした」
まさに青天の霹靂だった。ジェイク・バートン、享年65歳。言わずと知れたスノーボード界のパイオニアであり、リーディングブランド・BURTONの創業者だ。2012年にガンを克服したという知らせを耳にしていただけに大変な衝撃を受けたが、ふと我に返ると、以前足を運んだことがあった彼の自宅での思い出がよみがえってきた。
「みんなに知らせることが目的なんだ」
2010年10月、米バーモント州ストウに位置するバートン邸を訪れる機会に恵まれた。「FALL BASH(秋の大パーティー)」と題されたイベントに参加するためだ。スノーシーズンの足音が聞こえてくる10月に世界中から数千人(筆者が訪れた年は約1400人)の関係者を招き入れ、きたるべき冬を祝うというもの。その歴史たるや、1982年から始まった伝統のスノーボード大会、BURTON US OPENよりも古くから行われている。
東京ドーム何個分という形容がふさわしい広大な敷地を誇る庭には巨大なドームテントが、その一角にライブ会場が設営され、仮設トイレがいくつも用意されるなど、まるで野外フェス会場。食事やお酒が大量にふるまわれる豪快なイベントをバートンは当時、次のような想いで開催しているのだと語ってくれていた。
「季節が移り変わり、気温が下がり、日の沈む時間が早くなるこの時期。その事実をみんなに知らせることが、このパーティーの目的なんだ。シーズンが始まるという、いい合図になっていると思う」