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小林陵侑が即答した「優勝したい」。
ジャンプ週間4位も照準はW杯連覇。
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byAFLO
posted2020/01/10 08:00
小林陵侑は今季のW杯ですでに3勝。総合連覇も射程にとらえる中で後半戦のビッグジャンプに期待したい。
腰痛と脚にも痛みを抱えながら。
しかし、勢いは続かない。元日に行われた第2戦のガルミッシュパルテンキルヘン大会は4位。1本目で助走姿勢が決まらず4位の得点だったことが響いた。
W杯初勝利を含む通算13勝と大爆発した昨季は余計なことを考えずに飛べていたというが、今季はシーズン序盤から腰痛を抱え、助走姿勢に微修正を繰り返しながらの海外遠征が続いている。
ジャンプ週間では脚に痛みもあった。それらの影響からか、昨季とは違って好飛躍をそろえることに苦労していた。それでも、まだジャンプ週間総合では首位をキープ。総合連覇の可能性を十分に残したまま、後半に折り返した。
気まぐれな風が吹いてしまう不運。
「運も味方してくれなかった」のは、W杯で今季初の2桁順位となる14位に沈んだ第3戦のインスブルック大会。ここで総合4位に後退してしまう。
着地後のブレーキングゾーンが大きくせり上がり、会場全体がすり鉢状をしている独特のジャンプ台。その形状からか風の向きや強さが変わりやすく、運不運の差が大きいことで知られる。この日、まさにその特徴通りの気まぐれな風が吹き、小林陵は1本目が13位、2本目も15位に終わった。
風の向きや強弱による有利、不利は得点で補正されるとはいえ、実際には数字に反映されない部分も多いと言われる。取材者も選手自身の肌感覚に頼るしかない。小林陵は風の影響を問われると、「もろ、そうでしょう」と言った。
とはいえ、自然を味方につけることも競技の一部だと分かっている。「まあ、こういう日もあります。ここは忘れて次に向かいたいですね」
気持ちを切り替え、ジャンプ週間最終戦のビショフスホーフェン大会に臨んだ。それでも、最後はハイレベルな欧州勢の争いに食い込めず、大逆転を果たすことはできなかった。