炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ育成入団から1年で支配下に。
強力外野陣に挑む大盛穂の思考力。
posted2019/12/11 18:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
今オフの広島の来季へ向けた補強の動きは早かった。例年のようにFA市場に参戦はしなかったが、10月25日にDJ・ジョンソン投手の獲得を発表すると、11月2日に新外国人野手のホセ・ピレラ外野手の獲得。12月1日にはテイラー・スコット投手の獲得で、年越しを待たずに外国人の補強にめどを立てた。
12月9日には、広島市内のホテルで育成3選手を含めた新人9選手が入団発表会見を行った。注目のドラフト1位、明大の森下暢仁投手を始め、投手、捕手、野手。さらに即戦力、素材型と、バランスのいい指名となった。
佐々岡真司監督が「完璧」と振り返ったドラフトが終わってしばらく、広島球団から育成契約だった大盛穂(おおもり・みのる)の支配下選手登録が発表された。
野手がそろう中での支配下登録。
「広島東洋カープに入団してから支配下登録されることを最初の目標にしていたので、大変嬉しく思います。(中略)本当のプロ野球選手としてのスタートラインに立つことが出来ましたので、自分の持ち味をどんどんアピールして、一軍の舞台で活躍できるように頑張ります。そしてお世話になった方々に恩返ししたいです。引き続き、温かいご声援の程よろしくお願いします」
新たな門出への意気込みは、ドラフト指名選手の動きが活発な中、決して大きく取り上げられなかった。ただ、すでに人材がそろっていると思われた広島外野陣に枠1つを使ってでも支配下登録した意味は大きい。
不動の右翼レギュラー鈴木誠也に加え、チーム随一の経験を誇る長野久義がいる。さらに俊足と守備力に加え、パンチ力も併せ持つ野間峻祥もいる。打力に勝る一塁兼任で松山竜平もいる。そこにメジャー経験のある新外国人ピレラ、ドラフト2位で即戦力外野手の宇草孔基まで加入。今季中堅のレギュラーに定着した西川龍馬が秋季キャンプで三塁に再挑戦させられるだけの陣容がそろっている。
今年、戦力外になった選手たちから聞かれた言葉は「一軍で勝負する武器がなかった」だった。プロの世界では一芸に秀でることが求められる。