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ファーム二冠の安田は来季も二軍?
ロッテのFA戦略が消化不良な理由。
posted2019/12/11 08:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
FA戦線でロッテがクローズアップされた。ソフトバンク、西武、楽天、中日、ヤクルトと争奪戦を演じたユーティリティプレーヤーの福田秀平(外野手)、楽天、巨人、ヤクルトと争奪戦を演じた通算51勝投手の美馬学(投手)を獲得しているのだ。
昨年までのFAの歴史を振り返ると、獲得したのは1995年の仲田幸司(阪神)、2011年のサブロー(巨人)、2013年の涌井秀章(西武)の3人しかない。仲田は前年0勝、サブローは'11年途中までロッテに17年間在籍していた選手、涌井は前年5勝なので、全盛期の選手を獲得したのは今回の2人が初めてである。
一方、外国人選手では、昨年のレアード(前日本ハム)に続いて日本球界で実績のあるジェイ・ジャクソン(元広島)を獲得した。広島が3連覇した'16~18年に中継ぎ投手として活躍、通算175試合に登板し、10勝8敗92ホールド、防御率2.10を記録している。今季のレアード同様、ジャクソンは安定した活躍が望める助っ人だろう。
中継ぎ充実、先発は若手の台頭も。
来季の中継ぎ陣はジャクソン、唐川侑己、西野勇士、松永昂大、酒居知史、チェン・グァンユウの表陣容、東條大樹、東妻勇輔、涌井秀章、田中靖洋に、故障からの復帰が期待される内竜也、大谷智久、有吉優樹など実績のある裏陣容で臨むことが可能になった。抑えは27セーブした益田直也が健在で、西野、涌井、内も抑えの経験が豊富なので備えは十分だ。
先発陣は実績のある石川歩、美馬に、若手の二木康太、岩下大輝、種市篤暉、さらに昨年7月以降、2勝した佐々木千隼や左腕の土肥星也、小島和哉、中村稔弥などの若手も期待できる。'18年に13勝2敗で勝率1位になったボルシンガーを惜しみなく戦力外にし、ドラフトでも高校生の佐々木朗希(大船渡高)を1位、横山陸人(専大松戸高)を4位で指名するなど即戦力投手の獲得はゼロ。
首脳陣やフロントの現有戦力に寄せる信頼の厚さがうかがえる。