熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
飛行機墜落から3年、降格で再び涙。
財政難シャペコエンセは甦るのか。
posted2019/12/08 20:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
11月27日、ブラジル南西部の人口22万人の農工業都市シャペコの小さなスタジアム(アレーナ・コンダ)が悲嘆に満ちた。全身で怒りを表わす中年男性、すすり泣く若い女性、目に涙を浮かべて頭を抱える少年――。
ブラジル・セリエA第35節(全38節)でシャペコエンセがリオの古豪ボタフォゴに0-1で敗れ、6シーズン死守してきたブラジル・セリエA(1部)から陥落した。
世界中のフットボール関係者とファンを震撼させたあの悲劇が起きてから、あと1日でちょうど3年だった。
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2016年11月28日夜(コロンビア時間)、コパ・スダメリカーナ(南米でコパ・リベルタドーレスに次いで重要なカップ戦。欧州のヨーロッパ・リーグに相当する)決勝に進出し、コロンビアの強豪アトレティコ・ナシオナルとの第1レグを戦うため試合地メデジンへ向かっていたチャーター機が、電気系統の故障と燃料不足で山岳地帯へ墜落。乗客・乗員77人のうち71人が死亡した。
天すらも号泣した追悼セレモニー。
そのうち、選手19人(2005年に柏レイソルでプレーしたMFクレーベル・サンタナら元Jリーガー4人を含む)、カイオ・ジュニオール監督(2009年前半にヴィッセル神戸を指揮)らコーチングスタッフ14人、サンドロ・パラオーロ会長らクラブ役員9人の計42人がシャペコエンセ関係者だった。
他にも、同乗していたメディア関係者20人、クラブの招待者2人、乗員7人が犠牲となった。
事故から5日後の12月3日、アレーナ・コンダで追悼セレモニーが行なわれた。
朝から小雨が降っていたが、セレモニーが始まる昼過ぎから豪雨となった。現地で取材していて、「これは涙雨なんてものじゃない。天が号泣している」と感じた。