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アーセナル戦2得点で人気急上昇!
鎌田大地を包む温もりと団結心。
posted2019/12/09 11:00
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
2019年11月28日、木曜日のロンドンで鎌田大地がUEFAヨーロッパリーグ、アーセナル相手に2ゴールを決めて勝利に大貢献したニュースは、瞬時にフランクフルト市内を駆け巡りました。
当日の僕は現地へは赴かずに、自宅近くの行きつけのパブで観戦。かつての宿敵であるピエール・エメリク・オーバメヤン(2013-2018ドルトムント在籍)に先制されたときは店内がシーンとなりましたが、後半の鎌田の爆発で逆転勝利すると歓喜の宴となりました。
1点目の場面は、右のダニー・ダコスタからのパスをバイタルエリア付近で受けた鎌田が一旦右に身体を傾けた刹那に左方向へシフトし、左足シュートを炸裂させたもの。ゴールの瞬間、隣のオジサンが「ユンゲン・ヤパーナー(若い日本人)は左利きだったっけ?」と言って口をあんぐりと開けていたのがとても印象的でした。
ちなみにオジサンは鎌田が右足低弾道シュートで2点目をマークしたときは「どっち利きだよ!」と突っ込みつつ、喜色満面の笑みをたたえていました(鎌田は右利きです)。
「ダイチは当然スタメンだろ!」
アーセナル戦での2ゴールでフランクフルト市民の関心が高まっているのを感じます。知人のドイツ人サポーターはこれまで鎌田のことを「Kamada」と呼んでいましたが、最近「明日の試合のダイチは当然スタメンだろ!」とファーストネームで語るように。
アイントラハト・フランクフルトのホーム、コンメルツバンク・アレナでのスタメン紹介でも、スタジアムDJの「ダイチ!」という掛け声に呼応するサポーターの「カマダ!」という声量が、ことさら大きくなっているように思います。
シント・トロイデンから今季レンタルバックしたアイントラハトで、鎌田はその立場を確立させるとともに、少なからずジレンマを抱えていました。
今季のアイントラハトはブンデスリーガ、DFBポカール、ヨーロッパリーグの3大会を同時並行でこなすため、シーズン序盤から過密日程に。チームの総合力が問われるなかで鎌田の出場機会は必然的に増加していきました。