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10代で過大評価の烙印を押された、
天才ウーデゴールがソシエダで開花。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byUniphoto Press

posted2019/11/08 11:30

10代で過大評価の烙印を押された、天才ウーデゴールがソシエダで開花。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

メディアではロドリゴ、久保建英らとともに“マドリーの有望株”として扱われがちなウーデゴールだが、今はソシエダのために戦う。

勝手に押された「過大評価」の烙印。

 しかし、鳴り物入りで加入した選手に対する忍耐力を持たない外野は、そうした経緯を力不足のせいと勝手に解釈し、彼に「過大評価」の烙印を押してしまった。

 そんな外野の喧騒など気にもせず、ウーデゴールはオランダで成長した。技術を磨き、プロとしてのメンタリティを養い、フィテッセではチームリーダーの重責を自ら担おうとさえしていた。

 さらに、身体を強化した。

 R・マドリーのカンテラのコーチのなかには「相手チームとのコンタクトが多い試合に弱い。DFに競り負ける」と指摘する者がいたというが、いまやそれは過去の話。一方、やはりカンテラ時代にもらった「横方向ではなく縦にプレーしろ」というアドバイスも、筋力を増した身体のおかげで実践できるようになった。

ソシエダに馴染み、語学も上達。

 加えて、今季は外的要素に開花を後押しされている。

 まずは、同居する兄のクリストファーや代理人のビヨン・トーレ・クバルメによるサポート。クバルメは2001年から'04年までレアル・ソシエダに所属し、2002-03シーズンのリーガ準優勝に貢献しているため、クラブが寄せる信頼も厚い。

 また、チームメイトに「新参者」「スカンジナビア半島出身」「同世代」という共通点を持つFWアレクサンダー・イサクがいることも、精神的な助けになっているようだ。

 落ち着いた環境も彼の力となっている。「R・マドリーの一員」と「レアル・ソシエダの一員」では日常的に受けるプレッシャーが段違いであり、サン・セバスティアンの人々はプライバシーも尊重してくれるという。

 3つ目に上達したスペイン語がある。地元紙によると、コミュニケーションの重要性を悟った彼は、R・マドリー時代よりも頻繁にレッスンを受けているとか。

 最後に、レアル・ソシエダのプレースタイル。チームへの順応が早かったことについて問われたウーデゴールは、アルグアシルのサッカーがカギだと答えている。

「自分にとって監督のプレースタイルは完璧。このチームにとっても最適だ」

【次ページ】 マドリーはレンタル期間破棄を検討。

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