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パの規定投球回到達がたった4人。
原因は打高投低、人材不足なのか。

posted2019/09/04 11:40

 
パの規定投球回到達がたった4人。原因は打高投低、人材不足なのか。<Number Web> photograph by Kyodo News

8月終了時点で防御率トップの日本ハムの有原航平。パ・リーグでは彼を筆頭に規定投球回を突破しているのが4人しかいない。

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 8月が終わり、勝負の9月を迎えている。ここへきてNPBの「記録」にちょっとした異変が起きている。パ・リーグの規定投球回数到達者がたったの4人になったのだ。

<8月31日時点でのパの規定投球回数以上>
1 有原航平(日)21登 13勝7敗
145.1回 防御率2.29
2 千賀滉大(ソ)22登 11勝7敗
151.1回 防御率3.09
3 山岡泰輔(オ)22登 10勝3敗
141.1回 防御率3.88
4 美馬学(楽)21登 7勝3敗
125回 防御率3.96

 規定投球回数は1964年以降「試合数×1」と決められている。有原と千賀は、すでにシーズン終了時の規定投球回数143をクリアしている。オリックスの山岡はあと1.2回だから大丈夫だろうが、楽天の美馬はあと18回、登板回避があると到達しない可能性もある。そうなると3人になってしまう恐れもある。

 規定投球回数未満では、ロッテの二木康太が121回だが、ここから追いかけるのはかなり厳しそうだ。

パは3年で13人→9人→4人と激減。

 規定投球回数は、打者の規定打席と同様に「率」で表す成績の基準となっている。

 プロ野球では規定投球回や規定打席をクリアして初めて「正選手」とされてきた。規定投球回数に達する選手の激減は、投手の「正選手の定義」が揺らいでいるとも言えるだろう。

 昨年もこの話題に触れたが、2018年はパが9人、セが8人だった。それでも非常に少なかったのだが、今年のパは異常事態というほかない。

 ここ10年の両リーグの規定投球回数到達選手数は以下の通りだ。なお2019年の成績は8月31日時点のものである。

2010年:セ12人 パ16人
2011年:セ16人 パ17人
2012年:セ20人 パ13人
2013年:セ17人 パ12人
2014年:セ15人 パ13人
2015年:セ14人 パ12人
2016年:セ12人 パ14人
2017年:セ12人 パ13人
2018年:セ8人 パ9人
2019年:セ9人 パ4人

 大谷翔平が日本ハムにいた最後の年である2017年でもパの規定投球回数以上は、13人もいたのだ。しかしここ2年で激減している。

 投手の分業が進んでいるのは両リーグともに共通だけに、それだけを理由とは説明できない。いったい、パ・リーグに何が起こっているのだろうか?

【次ページ】 MLB、セに移籍したエースたち。

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