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パの規定投球回到達がたった4人。
原因は打高投低、人材不足なのか。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2019/09/04 11:40

パの規定投球回到達がたった4人。原因は打高投低、人材不足なのか。<Number Web> photograph by Kyodo News

8月終了時点で防御率トップの日本ハムの有原航平。パ・リーグでは彼を筆頭に規定投球回を突破しているのが4人しかいない。

MLB、セに移籍したエースたち。

 パ・リーグでは、ダルビッシュ有、田中将大、大谷翔平、菊池雄星と規定投球回数を楽々クリアするようなエース級の投手が次々とMLBに移籍した。また、吉川光夫(日本ハム→巨人→今季途中から日本ハム)、野上亮磨(西武→巨人)、西勇輝(オリックス→阪神)とこれに次ぐクラスの投手がセ・リーグに移籍した。

 主力級の先発投手がいなくなって、その穴を埋める先発投手が育っていないのが大きいだろう。

 さらに、防御率ランキングに例年1〜2人は入ってくる、外国人の先発投手も今年はいない。ソフトバンクのバンデンハークが戦線離脱、オリックスのディクソンは救援に回った。そしてめぼしい新外国人先発投手もいなかったのだ。

月ごとに増減を調べてみると。

 もう1つ、規定投球回数入りの投手数は、投打のバランスと深い関わりがある。

 2019年のパの月ごとでのリーグ打率、防御率と、その月終了時の規定投球回に到達した投手を見ていこう。名前と所属先の後の数字はその時点での勝−敗、防御率である。

<3、4月 打率.244 防御率3.86>
規定投球回数以上 11人

1 有原航平(日)4−0 0.51
2 大竹耕太郎(ソ)0−1 0.89
3 山本由伸(オ)1−1 1.45
4 千賀滉大(ソ)2−0 1.46
5 山岡泰輔(オ)2−0 3.09
6 アルバース(オ)1−1 3.52
7 美馬学(楽)2−1 3.56
8 上沢直之(日)2−1 3.98
8 多和田真三郎(西)1−2 3.98
10 高橋光成(西)2−2 4.32
11 今井達也(西)3−2 5.10

<5月 打率.253 防御率3.98>
規定投球回数以上 13人

1 山本由伸(オ)3−2 1.38
2 千賀滉大(ソ)5−1 1.60
3 有原航平(日)6−2 1.69
4 大竹耕太郎(ソ)2−2 2.07
5 榊原翼(オ)2−3 2.50
6 山岡泰輔(オ)4−2 3.20
7 二木康太(ロ)4−3 3.54
8 涌井秀章(ロ)3−2 3.76
9 辛島航(楽)4−2 3.81
10 今井達也(西)4−5 4.40
11 高橋光成(西)5−4 4.47
12 美馬学(楽)3−3 4.83
13 多和田真三郎(西)1−3 5.77

<6月 打率.256 防御率4.03>
規定投球回数以上 11人

1 山本由伸(オ)4−3 1.66
2 千賀滉大(ソ)8−2 1.93
3 有原航平(日)8−4 2.40
4 大竹耕太郎(ソ)5−2 2.65
5 榊原翼(オ)3−4 2.72
6 山岡泰輔(オ)5−2 3.43
7 二木康太(ロ)5−5 3.62
8 高橋光成(西)7−4 3.68
9 今井達也(西)5−6 4.02
10 涌井秀章(ロ)3−4 4.16
11 美馬学(楽)5−3 4.44

<7月 打率.242 防御率3.89>
※規定投球回数以上 9人

1 山本由伸(オ)5-4 1.89
2 有原航平(日)11-4 2.28
3 千賀滉大(ソ)9-4 2.44
4 山岡泰輔(オ)8-3 3.34
5 二木康太(ロ)6-6 3.44
6 大竹耕太郎(ソ)5-4 3.56
7 美馬学(楽)6-3 3.80
8 今井達也(西)6-8 4.15
9 涌井秀章(ロ)3-7 4.42

<8月 打率.270 防御率4.22>
※規定投球回数以上 4人

1 有原航平(日)13−7 2.29
2 千賀滉大(ソ)11−7 3.09
3 山岡泰輔(オ)10−3 3.88
4 美馬学(楽)7−3 3.96

 この数字から、先発投手は、サバイバルレースであることがわかる。

【次ページ】 8月、極端な打高投低になっていた。

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有原航平
千賀滉大
山岡泰輔
美馬学

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