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マツダスタジアム設計者の遊び心。
新幹線、遊環構造、ただ見エリア……。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byNanae Suzuki

posted2019/07/17 08:00

マツダスタジアム設計者の遊び心。新幹線、遊環構造、ただ見エリア……。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

勝っても負けても、マツダスタジアムは常に満員だ。その裏には、スタジアム自体の力もあるのだ。

新幹線が見え、新幹線から見える。

 まず、仙田氏は走行中の新幹線も見えるように設計をした。このアイデアは、とある日本の球場にヒントを得たもので、それを再現したものだった(回答は本誌で!)。

 素晴らしいのは球場と新幹線の双方向性で、新幹線に乗っている側からも、球場が見えることで街と球場がつながる。私などは山陽新幹線に乗り、広島駅に近づくと胸がワクワクしてしまう。ナイトゲーム開催日ならなおさら。カクテル光線に照らされたスタジアムを見ると、一瞬、すべてのことを忘れてしまうほどだ。

 街と球場の双方向性は、アメリカでは特に意識されているものだ。

 サンディエゴのダウンタウン近くにあるペトコ・パークは、特に街とのつながりに配慮した設計になっていたり、試合のチケットを持たない人であっても、参加できるような仕掛けがある。

 日本のドーム球場に足を運んでも、ワクワクしない理由が分かった。それは、建物が外部を拒絶しているからではないか? すべての設計発想が内側、観客にとっては席を中心に発想されているから、内部からの放熱がない。それがマツダスタジアムでは「ただ見エリア」ひとつとっても外部とのつながりが意識されていて、球場の熱が街へと伝わっていく。

日本のスタジアムのスタンダードになった。

 東京では新国立競技場が年内には完成し、2023年には北海道日本ハムが新しいスタジアムをオープンさせる。本来なら、日本でもスタジアムについての議論、批評がなされるべきだと思うが、その時にスタンダードとなるのは、間違いなくマツダスタジアムだ。

 街と球場の関係、そしてそれがもたらす経済的な効果。新球場の建設は広島という街を活性化させた。また、こうした仙田氏の発想を、カープ経営陣が遊び心を全開にして、楽しさを倍加させているからこそ、次々と楽しいシートができるのだ。

 つくづく、広島の人たちが羨ましい。

 こんな素敵なスタジアムが、自分の街にあるなんて。

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