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勝利剥奪のペナルティにベッテル激怒。
F1レースの裁定はどうあるべきか。
posted2019/06/16 17:30
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
6月9日、70周で争われたF1カナダGP決勝レース。事件が起きたのは後半に入り、2番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)がトップを走行していたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の背後に迫った48周目のことだった。
1つ目のシケインのブレーキングでベッテルがミス。シケインをショートカットして芝生に乗り上げてからコースに復帰したところに、本コースを走行してきたハミルトンが急接近し、あわや接触という状況となった。
幸い事故にはならなかったが、この一件をインシデント(事件)として審議したスチュワード(審議委員)は、「ベッテルが安全性に欠ける状態でコースに復帰し、ハミルトンをコース外(コンクリートウォール)に押しやった。そのため、ハミルトンは接触を避けるために、回避行動を取らなければならなかった」と判断。レース中にベッテルに対して、5秒加算ペナルティを科した。
これにより、トップを走行するベッテルが優勝するためにはハミルトンとの差を5秒以上広げなければならなくなった。しかし、ハミルトンも必死に食い下がり、70周目のコントロールラインを通過したときの2人の差は1.3秒。ベッテルはトップでチェッカーフラッグを受けたものの、優勝はハミルトンのものとなった。
2位のボードを1位のボードの前に。
幻のウイニングランを終えたベッテルの怒りは収まらず、トップ3のドライバーがマシンを停める表彰台下のパルクフェルメへ向かうことを拒否。ピットレーン入口でマシンを止め、チームのホスピタリティハウスに直行した。
その後、チームに促されて表彰台へ向かうが、途中でパルクフェルメに立ち寄ると、自分が停めるべきスペースの前にあった2位のボードをハミルトンのマシンの前にあった1位のボードの前に置くなど、スチュワードの決定に抵抗を示した。
ベッテルは言う。
「コースアウトして僕にできることはほとんどなかった。芝生を通り抜けてタイヤが汚れたクルマをコントロールするなんて不可能だ。あの状況でどうすればいいと言うんだ」