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世界的なサッカーバブルは頭打ち?
プレミア放映権が下落、Jの影響は。 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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posted2019/05/30 11:25

世界的なサッカーバブルは頭打ち?プレミア放映権が下落、Jの影響は。<Number Web> photograph by AFLO

世界で最も華やかなプレミアリーグ。しかし2019-20シーズンから放映権料が約10%の減額となるとは驚きだ。

プレミアリーグの放映権料が下がった!

 欧州主要リーグの放映権料は、現状どうなっているのか。これからどうなっていくのか。弊社フィールドマネージメント内に調査チームを組み、調べることにしました(白井英介、上妻良平、神田淳希が調査・分析を担当)。

 その結果をまとめたものが、下記の数字です。やはり、放映権料はおおむね右肩上がりで推移してきたことがわかります。

<プレミアリーグ>
2013-14、2014-15、2015-16:23億700万ドル
2016-17、2017-18、2018-19:38億5400万ドル
2019-20、2020-21、2021-22:35億400万ドル

<リーガ・エスパニョーラ>
2016-17、2017-18、2018-19:9億9700万ドル
2019-20、2020-21、2021-22:12億8600万ドル

<セリエA>
2013-14:11億700万ドル、
2014-15:11億2300万ドル、
2015-16、2016-17、2017-18:12億6200万ドル
2018-19、2019-20、2020-21:12億9900万ドル

<ブンデスリーガ>
2013-14、2014-15、2015-16、2016-17:8億9000万ドル
2017-18、2018-19、2019-20、2020-21:16億ドル

<リーグアン>
2013-14、2014-15、2015-16:6億3700万ドル
2016-17、2017-18、2018-19、2019-20:9億700万ドル
2020-21、2021-22、2022-23、2023-24:14億4000万ドル

 ただ、この中で留意すべきポイントが1つあります。英プレミアリーグの来季以降の放映権料(国内と海外の合計)が、約38.5億ドルから約35億ドルへ、およそ10%の減額となっているのです。

 放映権料収入が減る英プレミアリーグに対して、放映権料収入が増えていくJリーグは、選手獲得競争の中で一定程度は優位な立場を得られるようになっていく、という見方は成立しそうです。

2026年にJの放映権料は下がる?

 また、主要リーグの中でも最大の市場規模を誇る英プレミアリーグは、他国リーグの先進事例となりえます。来季からの減額の流れが、将来的に(次回の契約更新時に)他国リーグにも波及していくとすれば、Jリーグが欧州の主要各国から選手を獲得するチャンスがこれまでよりは広がることが期待できます。

 ただ、同時に考えなければならないのは、そのチャンスの時期が永遠に続くわけではない、ということです。

 Jリーグの魅力・価値が向上し続け、それに伴って放映権料もさらに上がり続けるのであればいいですが、DAZNとの10年契約が終わった時、Jリーグの放映権料にどれほどの値がつくのかは不透明です。むしろ、Jリーグの魅力・価値が現状のままならば、値下がりする可能性のほうが高いでしょう。

【次ページ】 投資対効果で各国リーグを比べると。

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アンドレス・イニエスタ

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