猛牛のささやきBACK NUMBER
首脳陣も期待する生粋のファイター。
オリ福田周平が攻め続ける理由。
posted2019/05/03 10:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
福田周平がオリックスに入団して以降、取材をする中で、偶然にも2人の人物から「ファイター」という言葉を聞いた。
1人は、福田が所属していた社会人野球、NTT東日本の飯塚智広監督だ。監督に就任してまもない頃、スカウトのため大学生を見にいった時に目にとまったのが、明治大学の遊撃手を務めていた福田だった。
「ファイターのショートが欲しいなと思っていた時に、福田の姿が目を引きました」
福田は飯塚監督の期待通り、その熱さと妥協のなさでチームを変え、NTT東日本は福田が入社3年目だった2017年、都市対抗野球で36年ぶりの優勝を果たした。
田口コーチ「戦えるヤツを作ること」
もう1人は、田口壮野手総合兼打撃コーチである。二軍監督を務めていた昨年、こんな話をしていた。
「僕の中でもっと何とかしたいと思うのは、戦えるヤツを作ることです。ファイターがいないんですよ。気持ちが前面に出ているような……。たとえ普段はのほほーんとしていても、いざマウンドに立ちました、バッターボックスに立ちましたという時には、『あ、こいつやっぱりプロだ!』というものが必要なんですよ。オーラがあって、どっしりしていて、全身からあふれ出るエネルギーがある。そういうものが要るんです」
そこで、「一軍も含めて、オリックスにそういう選手はいますか?」と聞いた時、当時、田口二軍監督が挙げたのが、福田の名前だった。
「今、福田が一番いいんじゃないですか。彼は自分の役割をわかっていますし。アウトになるかセーフになるか、という問題じゃないんですよね。戦えるかどうかなんです。結局は何事も迷いがあったら、勝負事なんてダメ。彼は迷いがないんじゃないですか。行くしかないと思っていると思うので」
そんな話を聞いていたから、“アグレッシブ”を最大のテーマに掲げた西村徳文新監督が、キャプテンにまだプロ2年目の福田を指名したのも納得だった。