猛牛のささやきBACK NUMBER
首脳陣も期待する生粋のファイター。
オリ福田周平が攻め続ける理由。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/05/03 10:00
今季、キャプテンに指名された福田周平。ガッツポーズが似合う男は“熱さ”でチームを牽引する。
肌で感じたメジャーリーガーのすごさ。
そこで、強い体作りを掲げ、昨年12月はアリゾナの施設でトレーニングを積んだ。そこにはメジャーリーガーも数多く訪れていたという。
「やっぱり環境を変えるってすごく大事ですよね。僕はメジャーの中継を小さい頃から見ていて、体の強さだったり、技術だったりというのは向こうのほうが優れていると思っている人間なので、そういう施設で彼らがどういうトレーニングをしてるのかとか、どういう心構えでやっているのかというのを見たいという気持ちもありました。
彼らは、トレーニングが始まる前まではすごくリラックスした雰囲気で、アメリカ人だなーという感じだったんですけど、いざトレーニングが始まった時の切り替えがすごかった。目つきが全然違いました」
その施設で約3週間過ごし、帰国後も引き続き全身のスケールアップをはかった。今年は、現時点(4月24日時点)で打率は.264で昨年と同率だが、安打の内容に手応えを感じ始めている。
「自分のスイングでヒットにできている割合が、去年よりは多くなっている。できる打席もあればできない打席もあるけど、進歩しているというか、成長しているなというのはあります」
打率3割、出塁率4割。
ただ、単純にヒットが出ればよし、としないのが福田だ。オープン戦で、フルカウントからボール球を打って安打にした打席があったが、その試合後、神妙な顔でこう語っていた。
「結果はヒットでしたけど、ボール球だったので。あれはバットが止まらないといけない。それで、フォアボールで次のバッターに回すというのが理想。今回はたまたまヒットになっただけなんで……。その場では、よかったなというふうに見られるかもしれないですけど、長いシーズンを考えた時に、あそこに手を出していては、たぶん打率も下がると思う。だからあそこの見極めを僕はしっかりしないと。あそこに手を出さない自分がいれば、もっと出塁率も打率も、自ずと上がると思っているので」
自身の役割は、何よりも塁に出ることだと考えている。打率と出塁率で1割の差をつけることが理想だ。
「3割打って、出塁率4割というところは達成したいなと思いますね」
生粋のファイターは、チームの勝利と自身の目標のために突き進む。