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<二軍監督とスカウトが語る>
吉田輝星「背番号に託された思い」
posted2019/04/09 15:00

text by

中村計Kei Nakamura
photograph by
Yuki Suenaga
まだ本領発揮には至っていない。夏の甲子園で金農フィーバーを巻き起こした高校ナンバー1右腕は“あの頃の自分”を超えるため、二軍の本拠地・鎌ケ谷で、鍛錬と葛藤の日々を過ごしている。
日本ハムの吉田輝星が、ブルペンのマウンドに戻ってきた。
すかさず二軍投手コーチの加藤武治がにやけ顔で突っ込んだ。
「びっくりした! 整備しないであがるのかと思ったよ。相変わらず」
3月某日、二軍練習場の鎌ケ谷スタジアムでの投球練習後の出来事だった。吉田はブルペンで80球投げ込んだ。そして、しばらく捕手と話をし、そのままベンチ裏に帰りかけた……ように、少なくとも加藤の目には映ったのだろう。「相変わらず」ということは「前科」があるのかもしれない。
二軍監督の荒木大輔は「戻ってこなかったら、大目玉を食らってたでしょうね」と笑う。ただ昨年、吉田と同じようにゴールデンルーキーとして世間の注目を集めた清宮幸太郎と比較し、こう評する。
「幸太郎と比べると、輝星は、そういう教育は受けてきている。幸太郎は僕も同じ学校(早実)だからわかるんですけど、そういう教育のない学校だったから。その点は輝星の方がしっかりしてる」
日本ハムのコーチ陣は吉田に対し、未だ何も教えていない状態だという。それは球団の方針であり、荒木の方針でもある。
「甲子園の状態に戻す。それが第一段階。そこまでのやり方は、本人がいちばんよく知っている。うちは甲子園の彼を評価して獲ったわけだから。高校生で、あんなボール投げられるんだ、と」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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