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「日本の筋トレ」と歩んだ34年・後編。
身体を動かす愉しさを知った日本人。 

text by

増田晶文

増田晶文Masafumi Masuda

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photograph byAFLO

posted2019/03/17 11:05

「日本の筋トレ」と歩んだ34年・後編。身体を動かす愉しさを知った日本人。<Number Web> photograph by AFLO

カリフォルニア州のベニスビーチは、マッスルビーチとも呼ばれる筋トレの聖地。写真は1990年代の様子。

フィットネスクラブが地域の交流場所に。

 シニア世代にとって、フィットネスクラブは昔とった杵柄。「20代はハイレグウエアでジャズダンスやってたのよ!」と怪気炎の方も多かろう。これらに加えて、高齢者がえらくアグレッシブになったのは、誰もが認めること。

 そも、フィットネスクラブは朝から深夜まで営業している。そこに定年組やシルバーエイジの方々が日参する。

「ランチのお弁当持参、スタジオでローインパクトのレッスンやゆったりとしたヨガを愉しみ、プールで水中ウオーキング。最後はお風呂に入ってお帰りになります」

 とはクラブスタッフの弁だ。彼は続ける。

「シニア向けプログラムの強化だけでなく、ジャグジーや露天風呂、天然温泉などシニアの要望が高いバス施設の充実が必要です」

 フィットネスクラブは高齢世代のレジャーランド。かつての銭湯や井戸端会議よろしく、地域のコミュニケーションや情報交換の場という機能まで担っている。クラブで老いらくの恋というケースも多々あるらしい。

 そして、私は常々、シニア会員諸氏が筋トレにも熱心なのには感心している。

 フィットネスクラブの構成要素はスタジオ、プール、ジムで、これらを三種の神器と呼ぶ。でも、人気はずっとスタジオレッスンやプールが担ってきた。ジムエリアはたいていガラガラ。私なんぞはそれをいいことに、プライベートジムみたいにして使っていたものだ。

 ところが昨今は、かなり混みあっている。ネットの筋トレサイトを参考にしているのか、「それ、どこを鍛えてるの?」というマニアックすぎる御仁もいらっしゃる。

 老いも若いも、婦女子までが懸命に筋肉鍛錬するシーンを34年前の私は想像しえたであろうか。

筋トレは、誰でもやれば成果が出る。

 前出のスタッフはそっと証言してくれた。

「スタジオレッスンや水泳、ランニングは体力だけでなく運動センスが必要です。高齢ではじめてそうそう上達するもんじゃない」

 しかし! 筋トレはそうではない!

「運動神経ゼロでも、どれだけ年齢がいっても愚直に続ければ何らかの成果が出ます」

 筋肉を鍛えれば対価は必ず得られる!

 三島由紀夫は、小学生時代に体育の授業を全休するという虚弱&過保護体質だった。

 にもかかわらず、30歳でボディビルを始め、やがて剣道やボクシングまで手掛けるようになった。肉体の変化が彼の文学にも多大な影響を与えたのは自明のことだ。

 平成が終わろうという今、三島ならずとも筋トレの効果を実感している人は少なくないだろう。

【次ページ】 かつてはお荷物だった筋トレが……。

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