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<2017注目打者ギャラリー 関東編>
日大三・金成麗生「金属バットって、ここまで飛ぶのか」
text by

楢崎豊(報知新聞社)Yutaka Narasaki
photograph byKentaro kase
posted2017/03/18 17:00

「甲子園で早稲田実業と当たったら、10対0で勝ちたい」と意気込み、練習に励む金成。
「強打の日大三」を率いて、2度の全国制覇を遂げた小倉全由監督が、こう断言する。
「当たった打球の速さは今までで一番でしょうね」
2001年、夏の甲子園を制したチームは打率4割2分7厘で当時の夏のチーム記録を塗り替えた。'11年も打のチームだった。多くの強打の選手を見てきた名将が金成麗生(かなり・れお)の打撃を高く評価する。
米国人の父、日本人の母を持ち、名前が麗生であることから、付いたニックネームは米俳優のレオナルド・ディカプリオならぬ「デカプリオ」。その名をとどろかせたのは昨秋の東京都大会決勝・早稲田実戦(神宮球場)だった。敗れはしたが5打数4安打5打点1本塁打と活躍した。指揮官に決勝の相手だった高校通算79本塁打の清宮幸太郎内野手の打撃と比較してもらった。
「清宮君も金成も飛ばす力は持っていますよね。ただ、金成の(野手としての)野球経験はここ数カ月ですから。それを考えたら、たいしたものだと思いますよ」
元々は大型投手として入ってきた。野手の練習に専念したのは、この冬が実質初めて。まだ成長途中なのだ。
小倉監督が就任した'97年から、毎年12月に行っている早朝5時開始の冬合宿。金成は打者の練習メニューを初めて見てゾッとした。1日の終わりに毎日1000スイング以上の素振りがある。金属よりも重い木製バットで振るものだった。
「こんなにバットを振って、体が壊れないのかな……」と不安になった。手はすぐにマメでボロボロになった。ただ、打撃練習で成果が出ると打つことが次第に楽しくなっている自分がいた。正しいスイング軌道を身につけ、合宿後に金属バットへ戻すと飛距離とスイングスピードが明らかに変わっていた。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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