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土俵はなぜ神聖なものなのか。「女人禁制」問題を考える。~制度の由来、運用、今後について~
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKYODO
posted2018/05/09 15:00
3月10日に行われた春場所前の土俵祭。八角理事長の他、一人横綱を務めた鶴竜、初場所優勝した栃ノ心らが出席。
相撲界の在り方が、古くも新しい論議を呼んでいる。「女人禁制」の問題だ。大相撲の土俵は神聖なものとされ、本場所前日に行司が祭主となって執り行う、厳かな「土俵祭」で神を迎える。千秋楽の表彰式後には、「神送りの儀式」として行司を神様に見立てて胴上げし、これは神を天上に帰す意味がある。一連の儀式で本場所終了後の土俵には神様が宿らず、聖域ではないと考えられる。
そもそも、なぜ土俵上は女人禁制なのか。諸説あるが、神道に則る相撲界では、性別に関わらず“死”と“血”が穢れとされる。相撲界ではことあるごとに塩で土俵を清めるが、これも日本古来のひとつの「文化」「信仰」「風習」だ。同じく女人禁制の霊山なども存在し、沖縄地方では男子禁制の霊場も存在する。「災いを招く(例が多くあった)ゆえ立ち入るべからず」との、先達が残した知恵だ。