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和田一浩「練習と同じにすれば?」
西武・栗山巧の復調にあった助言。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/12/29 09:00
来季はプロ18年目を迎える栗山。松井稼頭央が引退し、中村剛也とともにチーム最年長となる。
OBの和田が歩み寄って……。
シーズン序盤、指2本分ほどバットを短く持って打席に立っていた栗山が、夏場の試合から持ち方を変えた。グリップに小指がかかるくらいまで長く持つようになったのだ。結果が出始めたのもそのころだった。
当時、なぜバットを長く持つのか尋ねると栗山はこう言った。
「簡単に言うと、研究です。バットを長く持って、ヒットを打てるイメージが描けるかどうかを、試合の中で確認しています。バットをどう持つかは打席に入る前に決めるんですけど、基本的には最近はずっと長く持っていますね」
きっかけはある日の試合前練習だった。バットを長く持って打撃練習をしていた栗山を見かけたOBの和田一浩が、栗山に歩み寄った。和田は中継の解説者としてメットライフドームを訪れていた。
「試合のときも練習と同じように持ってみれば?」
和田が言葉をかける。
練習通りのイメージを。
栗山は振り返る。
「そのときは、『それが難しいんじゃないですか』って笑って和田さんに言い返したんですけど、ああ、そうかって気づいたんですよね。それやったら、練習通りというイメージで試合でもやってみよう、と。そのくらいのもんです。これからまた短く持つかもしれへんし、長いままかもしれない。またこれから、そのときどき考えようと思います」
その研究の成果が終盤戦の好成績につながった。
2019年、ライオンズはこれまで3番を打っていた浅村栄斗が抜ける。栗山の打撃には今まで以上に期待がかかるだろう。
「自分が穴を埋めようとは思わないですね。今は、とにかく自分が最高の成績を出すためにどうしようかということだけを考えています。いちばんの成績を出せたら結果的に穴を埋めることになるでしょう。今はオフなので、自分の成績をどれだけ上げることができるかを最優先に。シーズンに入ればそこからチームを見渡して、その中で自分のやるべきことが明確になると思います」