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和田一浩「練習と同じにすれば?」
西武・栗山巧の復調にあった助言。
posted2018/12/29 09:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
栗山巧はペナントレースを終えてオフになると、1シーズンを振り返る時間を持つ。反省、悔い、喜び、充実感。その試合、その試合で感じた技術的な課題や、さまざまな感情を思い返し、次のシーズンを迎えるための準備を始めるという。
毎年恒例のことだ。
2018年12月3日、契約更改のために球団事務所を訪れた栗山に、今年はどんなことを考えたのかと尋ねるとこんな答えが返ってきた。
「去年と同じですね。いつも、どうせ思うことは一緒なんですよ。もっとレベルアップできるな、レベルアップせなあかんな、もっともっと練習していこう、と……。そして来シーズンはもっといいシーズンにしたいなって、シンプルにそれだけですね。今年もそう思いました」
ベテランの栗山、中村が救った。
2018年シーズンの栗山の活躍は記憶に新しい。ペナントレース序盤、秋山翔吾、外崎修汰、金子侑司といった外野手とのレギュラー争いから外れ、栗山にはなかなか出場機会が訪れなかった。
ベンチで出番を待つ日が続いた。試合に出るための当面のライバル、金子は1割台の打率に苦しんでいたが、栗山に声がかかることはなかった。それでも栗山は、普段と変わらぬ準備を続けていた。
栗山が真価を見せつけたのは中盤から後半戦にかかる、チームにとって最も大事な時期だった。必死に首位を守るライオンズに対し、ソフトバンクが驚異の追い上げを見せていた。そんな中、西武の打線を救ったのは栗山、中村剛也というベテランの打棒だった。
特にライオンズにとっての正念場となった9月、栗山は3割9厘の打率と3本塁打を残し、ライオンズのリーグ優勝の立役者となった。