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2018年最後のGIにも怪物が登場。
サートゥルナーリアのスケールは?
posted2018/12/27 13:45
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
今年のJRA・GIを締めくくるのは、第35回ホープフルステークス(12月28日、中山芝2000m、2歳GI)だ。
ホープフルステークスは「中距離の2歳王者決定戦」という位置づけだ。が、「『1年の総決算』と言われる有馬記念が終わったあと、さらにGIが行われるのは違和感がある」とか、「朝日杯フューチュリティステークスという2歳王者決定戦があるのに、存在意義がよくわからない」といった声がよく聞かれる。まだGI昇格2年目で、ステイタスが確立されていないのだから、それは仕方のないところだろう。
どうすれば「GIらしいGI」になるのか。それには、やはり、ここの勝ち馬がその後トップホースとなり、「あの馬が勝ったレース」として認知されることの蓄積が必要だ。
そうした「あの馬」、つまり「未来のトップホース」になりそうな若駒が、出走馬のなかに何頭かいる。
サートゥルナーリアが筆頭。
その筆頭は、2戦2勝のサートゥルナーリア(牡、父ロードカナロア、栗東・中竹和也厩舎)だ。母は日米のオークスを制した名牝シーザリオ。半兄に2013年の菊花賞、'14年のジャパンカップを勝ったエピファネイア、'15年の2歳王者リオンディーズがいる。
阪神芝外回り1600mの新馬戦は、好スタートからハナに立ち、途中で他馬を行かせ、直線、行き場をなくしかけながら、前が開くと鋭く伸びた。
2戦目の京都芝外回り1800mの萩ステークスでは、道中は引っ張り気味の手応えで好位を追走し、直線、楽に抜け出した。鞍上のミルコ・デムーロは、左右を何度か見て他馬の脚を確認し、必要最低限の力を出すにとどめながら、2着を1馬身3/4突き放した。
2戦ともノーステッキで、グルリと回ってきたら勝っていた、という調教のようなレースだった。ダメージはまったくない。
全力で走ったらどのくらい強いのか、恐ろしいほどだ。兄たちに勝るとも劣らないスケールの大きさを感じさせる。