【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
W杯から考える“熱”の生み出し方。
MLSが先を行く若者狙いのSNS戦略。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byGetty Images
posted2018/06/18 16:30
ロシアは開幕戦でサウジアラビアに5-0という歴史的大勝を収め、大きな盛り上がりを見せた。
MLSは広告効果を検証している。
この点について、メジャーリーグサッカー(MLS)は敏感なのでしょう。TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSでプレー動画、試合中継の告知を積極的に配信。ウェブを活用したアプローチが奏功し、若者のファンが一気に増えています。
大手世論調査会社ギャラップによる「好きなスポーツ」の調査結果によると、アメリカの10-20代では第2位がサッカー。ちなみに1位はアメフトで、同率2位がバスケットボール、4位が野球でした。「アメリカにはサッカーが根付かない」とよく言われていましたが、それが簡単に覆されました。
アメリカ代表はワールドカップに出場しません。それなのに、着実に人気が高まっているのは、MLSが広告の効果をしっかりと検証し、テレビ頼みではない告知を行ってきたことが大きいはず。テレビも重要ですが、ウェブで情報がいかに拡散されるか。サッカーファンを超えて、一般生活者の興味関心にまで届く情報とはどのようなものなのか。発信する側の人間は、期待感を伴う情報を意図的にデザインしなくてはなりません。
従来とは違う情報デザインでリーチを。
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日本はワールドカップ本戦に出場するにもかかわらず、サッカーに対する熱が下がり気味でした。もちろん、代表チームが勝利すれば盛り上がると思います。でも、私が考えたいのはあくまでもビジネス的な視点であり、選手の実力頼みのものではありません。
従来のようにテレビを中心にした告知や放送という情報デザインを続けていれば、若者や一般生活者層にまで魅力が届かないでしょう。ファンを超えた広い層の人間が関心を持たないスポーツには未来がありません。
MLSの若者人気に加え、2026年ワールドカップがアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共催になることを踏まえると、アメリカがサッカーの中心地になる未来もあり得なくはないと思っています。